オフィシャルブログ大鵬ハウジング 社長
久保 友宏
【鈴鹿市】農地や山林付きの実家、相続したらどうする?|土地付きでも対応

三重県鈴鹿市で実家を相続したものの、家のまわりに田んぼや畑、裏山まで付いていて手が止まっている——そんなご相談は珍しくありません。建物だけなら売却の話も進めやすいのですが、農地が絡むと農地法という別のルールが顔を出し、山林は境界すらはっきりしないことがあります。手続きそのものを省くことはできませんが、どの土地にどの手続きが要るのかを最初にまとめて整理すれば、進む順番は見えてきます。この記事では、株式会社大鵬ハウジングがこれまで全国で扱ってきた経験をもとに、農地・山林付きの空き家をどう整理し、どう手放していくのかを、鈴鹿市の事情に沿って解説します。
農地や山林が付いた実家が手放しにくい理由
農地や山林が付いた実家がなかなか動かないのは、所有者の努力不足ではなく、土地の種類ごとにルールが違うためです。ひとつの敷地に見えても、登記上は宅地・田・畑・山林が混在していることが多く、それぞれ別の手続きが必要になります。
農地は農地法で売買が制限されている
農地は、誰にでも自由に売れる土地ではありません。耕作を目的に所有権を移すなら、農地法3条にもとづく農業委員会の許可が要ります。買主がその土地をきちんと耕せるかどうかが審査されるため、「隣の人が家庭菜園に使いたい」だけでは進まないこともあります。
山林・原野は境界も価値も見えにくい
山林は農地法の許可対象から外れることが多い一方、別の難しさを抱えています。
- 境界杭がなく、隣地との境が口伝えでしか分からない
- 現地に道がなく、そもそも到達できない
- 立木の所有と土地の所有が一致していない場合がある
- 面積が広い割に、取引の事例そのものが少ない
宅地と農地がひと続きで「分けられない」
農家住宅として建てられた家では、母屋・納屋・畑・作業道が一体で使われてきました。買主から見れば魅力的な広さですが、手続きは複数を並行させることになります。一人で役所を回ろうとすると、農業委員会、都市計画の窓口、法務局と足を運ぶ先が増えます。難しいのは土地そのものではなく、窓口がばらばらに分かれているという構造のほうです。
農地が付いた空き家を売る方法
農地が付いていても、売却できないわけではありません。ただ、その前に相続したときの手続きと売るときの手続きは別物だと押さえてください。
相続で農地を取得すること自体に、農地法3条の許可は必要ありません。その代わり、農地法3条の3にもとづく届出を鈴鹿市農業委員会へ提出します。そのうえで農地を売却・賃貸する段階になって、原則として3条の許可、または転用に関する手続きが必要になります。
相続登記にも期限があります。取得を知った日から3年以内が原則で、2024年4月1日より前に相続した未登記の不動産も対象となり、原則として2027年3月31日までの登記が求められます。農業委員会への届出とは別枠なので、両方の進み具合を確認してください。
農地法3条の許可と農業委員会の役割
農地を農地として売買・賃貸する場合、農地法3条の許可を農業委員会から受けます。主な判断材料は次のとおりです。
- 取得後に、所有・借入している農地のすべてを効率的に耕作すること
- 必要な農作業に常時従事すること
- 周辺の農地利用に支障を与えないこと
申請には締切日があり、総会での審議を経て許可が下ります。許可までに一定の期間がかかるため、売買の日程はこの手続きに合わせて組み立てます。
2023年4月の改正で変わったこと
以前は、取得後の農地面積が都府県で50アール(北海道は2ヘクタール)以上でなければ許可されないという下限面積要件がありました。この要件が2023年4月1日施行の改正農地法で廃止されています。空き家に付いた数畝の畑も、面積だけを理由に許可の要件から外れることはなくなりました。市町村の空き家バンクに登録された物件でなければ特例が使えない、という制約もありません。
ただし、廃止されたのは面積の要件だけです。効率的に耕作することなど、ほかの許可要件はそのまま残っています。
農地転用(4条・5条)という選択肢
農地を住宅用地や駐車場など別の用途に変える場合は、農地法4条または5条の手続きになります。鈴鹿市では、市街化区域内の農地転用は届出、市街化調整区域内は許可申請という扱いです。調整区域では制限が多く、転用できる場所とできない場所が分かれます。
さらに、農業振興地域の農用地区域に入っている農地は、原則として転用が認められません。転用許可の前に農用地区域から外す農振除外が必要で、鈴鹿市は変更申出を年2回受け付けていますが、要件を満たさなければ除外されません。申し出れば必ず宅地にできるものではない、ということです。
| 進め方 | 根拠 | 買主のイメージ | 主なハードル |
|---|---|---|---|
| 農地のまま売る | 農地法3条 | 近隣の農家、新規就農者 | 耕作要件を満たす買主を見つけること |
| 宅地などへ転用して売る | 農地法4条・5条 | 住宅取得者、事業者 | 調整区域の立地基準、農用地区域なら農振除外 |
| 建物・宅地部分のみ先に売る | 通常の売買 | 中古住宅の購入者 | 分筆や進入路の確保が必要な場合がある |
どの道を選ぶかは、土地の位置と区域区分でほぼ絞られます。悩むより先に現況を調べたほうが早く、結果として選択肢が一つに定まることも少なくありません。
農地を相続したときの届出|鈴鹿市 https://www.city.suzuka.lg.jp/sangyo/nousui/1003361/1003373/1003379.html
山林・原野が付いている場合の考え方
農地法の対象外でも調査は必要
登記地目と現況のいずれも農地に当たらない山林・原野は、原則として農地法の許可対象から外れます。ただし、農地かどうかは登記地目ではなく現況で判断されるため、地目が山林や原野でも農業委員会への確認が要る場合があります。地目が山林でも実態は畑という例は珍しくありません。
森林については、別の届出があります。
- 地域森林計画の対象となる民有林の立木を伐採する場合、原則として事前に鈴鹿市への届出が必要
- 土地の形質を変更する面積が1ヘクタールを超える場合は、県知事の林地開発許可が必要
- 保安林に指定されている場合、伐採には県知事の許可が必要
手放す前に確認しておきたいこと
- 公図と現況が合っているか(何十年も測量されていない土地は少なくありません)
- 隣地所有者との境界の認識にずれがないか
- 進入路が私道か、通行の承諾が取れているか
- 相続登記が済んでいるか、名義が祖父母のままになっていないか
とくに名義の問題は後回しにされがちです。年月が過ぎると相続人が枝分かれし、連絡がつかない方が出て手続きが止まります。山林は「急がなくてよい土地」に見えて、時間の経過で最も権利関係が複雑になりやすい土地でもあります。
伐採および伐採後の造林の届出等の制度|林野庁 https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/todokede/batsuzoutodokede.html
まとめて相談できることの強み
役所を回って調べる調査体制
当社は、一般的な価格調査に加えて、商業施設や病院、学校までの距離や時間、近隣の最新状況まで確認します。農地や山林が付いた物件では、区域区分、農用地区域に入っていないか、進入路の扱いといった項目が価格を左右するため、役所を回って裏を取ってから査定書をお出しします。
土地家屋調査士など専門家との連携
境界が不明、測量が必要、相続登記が未了——こうした場面では専門家の力が要ります。当社は弁護士・司法書士・行政書士・土地家屋調査士・税理士・FP2級・残置物処分業者と提携しています。当社が窓口となり、登記申請や法律相談などの専門業務はそれぞれの資格者が担当します。
また、大阪1店舗から全国に対応しており、地元の不動産会社では出会えない買主とつながることがあります。他社でマイナス査定になった物件をプラス査定で買い取った実績もあります。全国に目を向ければ、農地込みで住まいを探している方は実際にいます。
ただし、当社が相談窓口を一本化できても、農地法の許可・届出を省略できるわけではありません。農地のまま取得する場合は買主が3条の要件を満たす必要があり、転用を前提に権利を移すなら5条の手続きを行います。条件によっては、宅地・農地・山林を別契約に分けたり、別々の買主に引き継いだりする形が現実的なこともあります。窓口をまとめる意味は、手続きを飛ばすことではなく、どの土地にどの手続きが要るかを一度に整理できる点にあります。
農地・山林付きの空き家を手放すまでの流れ
現況確認から許可申請までの順序
- 登記事項証明書と公図で、地目・面積・名義を確認する
- 相続登記が済んでいるか確認し、未了なら期限を踏まえて手配する
- 相続した農地について、農地法3条の3の届出が済んでいるか確認する
- 区域区分、農用地区域、保安林などの指定を役所で調べる
- 建物・宅地・農地・山林それぞれの出口を検討し、売り方を決める
- 買主を探し、農地部分は農業委員会へ許可申請または届出を行う
- 農地部分の権利移転・登記・決済は、必要な許可または届出の受理を確認して進める
契約の時期は案件によって前後し、許可を条件に契約してから手続きへ入ることもあります。
過去には、地場業者に3年預けても売れなかった物件を、当社が改めて売り出して1か月で一般のお客様に売却した例もあります。原因は物件ではなく、買主を探す範囲の狭さにありました。
仲介と買取、どちらを選ぶか
| 比較項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 買主 | 一般の購入希望者 | 当社 |
| 期間の目安 | 買主が見つかるまで期間を要する | 条件が整えば短期間で完了 |
| 農地の許可 | 買主が3条または5条の要件を満たす必要がある | 買取でも農地法の許可・届出が必要。取得できるかは用途・区域・買主の要件による |
| 向いている方 | 時間をかけて条件を探りたい方 | 時期を区切って片づけたい方 |
各スタッフに1億円以内の決裁権があり、条件が整えば平日当日中の対応も可能です。ただし金額も日程も物件の状況によるため、必ず当日買取になるとお約束するものではありません。売主様の契約不適合責任は、原則として免責としています(契約書に明記)。ただし、雨漏りやシロアリ被害など、すでにご存じの不具合がある場合は、事前にお伝えください。売却後のトラブルは0件です。
鈴鹿市の農地・山林付き空き家の実情
鈴鹿市は自動車産業を中心とした内陸工業都市であると同時に、茶や花木、水稲の産地でもあります。海側の白子・磯山周辺と、椿一宮町・伊船町・小岐須町など鈴鹿山麓の集落とでは、空き家の姿がまるで違います。鈴鹿市独自の将来人口推計では、総人口は2050年に16万3,741人になると見込まれています。現在は約19万人規模の都市で一定の住宅需要がある一方、人口減少は将来の住宅需要に縮小圧力を与える可能性があります。ただ、それは「売れない土地」と決めつける理由にはなりません。
市街化調整区域の実家と都市計画税
鈴鹿市の都市計画税は、原則として市街化区域内にある土地・家屋が対象です。したがって市街化調整区域の実家は、原則として都市計画税の対象外になります。ただし、固定資産税は別に課税されます。税金がまったくかからないわけではない点は誤解されやすいところです。
都市計画税がない分だけ保有コストは相対的に低くなります。加えて調整区域は建て替えや転用の自由度が低く買主の層も限られるため、処分の判断が先送りされることがあります。
権限移譲を受けた鈴鹿市農業委員会
鈴鹿市は、三重県から農地に関する事務の権限移譲を受けている市のひとつで、農地法3条や4条・5条の申請は市の農業委員会事務局が窓口です。県へ回さず市内で完結する部分が多く、事前相談もしやすい環境といえます。調整区域の農地転用は制限が多いため、市も事前相談を呼びかけています。窓口が近いことは、手続きの見通しを早い段階で立てられるという利点につながります。
固定資産税と都市計画税|鈴鹿市 https://www.city.suzuka.lg.jp/kurashi/zei/1002044/1002045/1002046.html
鈴鹿市で農地付きの空き家を相談するには
相談の前に、書類をすべて揃える必要はありません。固定資産税の納税通知書と実家のおおよその場所が分かれば、調査は当社側で進められます。名古屋や四日市にお住まいの方も、遠方対応が可能です。
- 荷物が残ったままでも査定額は変わりません
- 相続登記が済んでいなくても、相談の段階では問題ありません
- 査定は無料で、交通費や出張費を請求することもありません
- 当社の買取では、相続登記や所有権移転登記などの登記費用を当社が負担します(ただし印紙税や譲渡所得にかかる税金など、売主様側で生じる費用はあります)
鈴鹿市では住宅政策課が空き家バンクの運営や無料相談会を行っており、行政の窓口を使う選択肢もあります。年間約2,400件のご相談、300〜400件の成約に携わってきた立場から言えるのは、農地や山林が付いた家ほど、先送りするほど関係者が増えて動きにくくなるということです。
鈴鹿市の空き家買取・対応エリア
神戸、白子町、平田町、算所、三日市町、国府町、庄野町、石薬師町、加佐登町、稲生町、玉垣(東玉垣町・西玉垣町・南玉垣町)、若松(若松東・若松中)、江島町、寺家町、磯山、長太栄町、伊船町、椿一宮町、小岐須町、深溝町
※上記に記載のない町名でも、鈴鹿市内であればすべて対応可能です。お気軽にご相談ください。
まとめ

農地や山林が付いた実家は、手続きが分かれているせいで難しく見えるだけです。要点を振り返ります。
- 相続で農地を取得したら農地法3条の3の届出、売るときは原則として3条許可か転用手続き
- 2023年4月に下限面積要件が廃止され、小規模な畑でも面積だけを理由に許可要件から外れることはなくなった
- 農用地区域の農地は原則として転用できず、先に農振除外の判断が必要
- 山林・原野も、現況によっては農地と判断されることがあり、伐採には市への届出が要る
- 市街化調整区域は原則として都市計画税の対象外だが、固定資産税は別にかかる
- 相続登記の遅れは、時間の経過とともに関係者を増やしてしまう
株式会社大鵬ハウジングは、全スタッフが工務店または大手不動産会社での実務経験10年以上。訪問調査から契約・決済まで同じ担当者が一貫して対応します。鈴鹿市で農地や山林の付いた実家を相続し、どこから手をつけるか迷っている方は、まとめてご相談ください。調べてみたら道筋は思ったより単純だった、という結末も十分にありえます。



