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【蒲刈島】隣との境界が分からない不動産は売却できる?進め方

呉市の蒲刈島にある実家を相続したものの、隣の土地との境界がどこなのか分からない。境界杭も見当たらず、昔建てた納屋が登記されているかも定かではない。地元で相談したら「境界をはっきりさせてからでないと難しい」と言われ、話が止まっている方もいるでしょう。この記事では、株式会社大鵬ハウジングが、境界や登記に不安がある蒲刈島の不動産を売却するときの考え方と進め方、呉市の支援制度までを整理してお伝えします。
境界が分からなくても売却を検討できる理由
先に結論をお伝えします。隣との境界が分からない状態でも、売却の検討をあきらめる必要はありません。境界を確定させてから売る方法のほかに、現在の状態を前提に売る方法もあるためです。
ただし、どの方法が取れるかは物件ごとに変わります。土地家屋調査士や司法書士、自治体への確認を経て判断することになる点は、最初に押さえておいてください。
売り方は「境界を確定してから」だけではない
一般的な売却では、隣地の所有者に立ち会ってもらい、境界を確定させる測量を行ってから売り出す流れが知られています。一方で、境界非明示(土地の境界を新たに測量せず、現在の状態を前提として売却する方法)という取引の形もあります。
あわせて使われるのが、現況有姿(建物や土地を現在の状態で引き渡すこと)での売却です。買主が境界の状況を理解したうえで購入するため、売主が先に測量を終えておく必要がない場合があります。どちらを選ぶかは、買主の意向や物件の条件を踏まえて決めていきます。
島の物件では境界や登記の課題は珍しくない
島の土地では、石垣や畑のあぜ、昔からの生け垣が境界の目安になってきた例があります。親の代まではご近所同士で「ここまでがうちの土地」と分かり合えていたため、あえて測量をしなかったという家もあるでしょう。
境界や登記の課題を抱えているのは、決して特別な物件ではありません。課題があることよりも、課題を把握しないまま時間が過ぎることのほうが売却を難しくします。
✓ポイント:境界を確定させる測量の見積もりを取る前に、「今の状態のままで買主が見つかる可能性があるか」を確認しておくと、測量費を先に負担せずに済む道が残るかどうかを判断できます。
地元で「境界を整えてから」と言われてしまう背景
境界の問題で相談が止まってしまっても、それは所有者の落ち度ではありません。断られる背景には、査定や取引の仕組み側の事情も関わっています。
境界が未確定だと評価や取引条件に影響する
境界が未確定でも査定自体は可能ですが、実際の面積との差や測量費、境界トラブルのリスクを見込んで、評価額や取引条件に影響する場合があります。そのため、境界の状況によっては取り扱いに慎重になる不動産会社もあります。
遠方の物件は立会いや調整に手間がかかる
境界を確定させるには、隣地の所有者との立会いや書類のやり取りが必要です。売主も隣地の所有者も島外に住んでいると、日程を合わせるだけで時間がかかります。本土の不動産会社にとっては、担当しづらい案件と映る場合もあるでしょう。
取引価格に対して測量費の割合が大きくなりやすい
島の土地は、都市部に比べて取引価格が抑えめになる場合があります。そうなると、境界を確定させる測量の費用が売却代金に占める割合も大きくなります。仲介の報酬で採算が合いにくい、という事情が断られる理由になっていることも考えられます。
島の土地で境界や登記が分かりにくくなる前提
境界の話を進めるうえで、知っておくと役立つ言葉と仕組みを整理します。
公図と地籍調査の基本
法務局には、土地の位置や形を示す「公図」と呼ばれる図面が備えられています。ただし古い公図は、現地の形や面積と一致しないこともあります。
これを正確な地図に置き換えていくのが、地籍調査(市町村などが土地ごとの所有者・境界・面積を調べて測量する調査)です。地籍調査は昭和26年から続けられていますが、国土交通省によると、令和7年度末時点の全国の進捗率は53%にとどまっています。お持ちの土地で調査が済んでいるかどうかで、境界確認の進めやすさは変わります。
物件ごとに違う部分
境界と登記の状況は、同じ島の中でも家ごとに異なります。確認しておきたいのは次のような点です。
- 母屋のほかに、納屋や離れなどの未登記建物(法務局の登記簿に登録されていない建物)がないか
- 敷地に畑やみかん畑などの農地が含まれていないか(農地法の許可や届出が必要になる場合があります)
- 境界杭や石垣など、境界の目安になるものが現地に残っているか
- 隣地の所有者が現在も島に住んでいるか、連絡先が分かるか
全国の地籍調査の実施状況|国土交通省 https://www.chiseki.go.jp/situation/status/index.html
よくある誤解と実際
境界や家財、遠方での手続きについては、思い込みから売却をあきらめてしまう方もいます。代表的な誤解を表にまとめました。
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| 境界を確定し、登記を整えるまで売れない | 境界非明示や現況有姿で取引する方法がある(物件ごとに専門家への確認が必要) |
| 家財を全部片付けないと売り出せない | 和箪笥や使える農機具を引き継ぎたい買主もいる |
| 手続きのたびに島へ通わなければならない | オンラインでの打ち合わせやIT重説で、現地へ行く回数を抑えられる可能性がある |
誤解1:境界を確定し、登記を整えるまで売れない
✖ 境界と登記をすべて整えないと売り出せない → ○ 今の状態を前提に取引する方法もある
島の物件では、境界が曖昧な土地や未登記の建物は珍しくありません。境界非明示や現況有姿での取引を選べば、売主が先に測量や登記を終えていなくても話を進められる場合があります。
ただし、「必ず売れる」とは言い切れません。買主が住宅ローンを使う場合や、隣地との争いが起きている場合など、先に整えておくべき事情もあります。物件ごとに土地家屋調査士・司法書士・自治体への確認が必要になります。
誤解2:家財を全部片付けないと売り出せない
✖ 家の中を空にしてからでないと相談できない → ○ 残置物がある状態でも相談できる
残置物(家の中に残っている家具や荷物)を島から運び出すのは、大きな負担です。しかし、レトロな和箪笥や、まだ使える農機具を引き継ぎたいと考える買主もいます。片付けの費用をかける前に、そのままで相談できるかを確かめておくと安心です。
誤解3:手続きのたびに島へ通わなければならない
✖ 内見や契約のたびに島へ行く必要がある → ○ 現地へ行く回数を抑えて進める方法がある
蒲刈島は橋で本土とつながっていますが、県外にお住まいの方にとっては移動の負担が小さくありません。現在はIT重説(オンラインで重要事項説明を受ける方法)が普及しています。オンラインでの打ち合わせや鍵の郵送を組み合わせれば、島へ渡る回数を減らせる可能性があります。
境界が分からない不動産を売却する進め方
ここからは、実際に動き出すときの順序をお伝えします。
ステップ1:現状を把握する
まずは手元にある資料を集めます。すべてそろっていなくてもかまいません。
- 固定資産税の納税通知書(所在地や地番、家屋の一覧が分かります)
- 登記事項証明書や公図の写し
- 昔の測量図や境界確認書、建築時の図面
- 家の周りや石垣、境界杭らしきものの写真
ステップ2:境界と登記の状況を専門家と確認する
集めた資料をもとに、公図と現地の違い、未登記建物の有無、相続登記の状況を確認します。境界の確認は土地家屋調査士、登記の手続きは司法書士の担当分野です。大鵬ハウジングはこうした専門家と連携しており、相談窓口を一本化して整理を進められます。
ステップ3:解体や測量の見積もりより先に査定を受ける
解体や測量の見積もりを先に取ると、費用の大きさに驚いて話が止まってしまうことがあります。先に査定を受け、今の状態で売れる可能性と、必要な準備の範囲を把握するのが順序として合理的です。
建物を解体してしまうと、元には戻せません。古家が残っているほうが、移住を考える買主にとって暮らしのイメージを描きやすい場合もあります。解体を決める前に、建物付きで売却できるかを確認しておくと判断を誤りにくくなります。
ステップ4:買主を全国に向けて探す
島内だけで買主を探すと、候補はどうしても限られます。瀬戸内の島暮らしに関心のある移住希望者や二拠点生活を考える方、釣りやマリンスポーツを楽しむ方など、全国に目を向けると候補は広がります。大鵬ハウジングは、島の環境や地域性を理解する買主とのマッチングを目指して売却活動を行います。
島での暮らしには、台風や潮風による建物への影響、買い物や通院の手段、地域ごとの自治会活動や生活上のルールなど、事前に知っておきたい条件があります。こうした点を隠さず伝えることが、引き渡し後のトラブルを防ぐことにもつながります。
境界・登記に関わる費用と公的な窓口
境界や登記を整える場合に、どのような費用が関わるのかを整理しておきます。
境界や登記に関わる費用の考え方
金額は土地の広さや隣地の数、資料の残り方によって大きく変わるため、ここでは項目ごとの考え方を示します。
| 項目 | 内容 | 留意点 |
|---|---|---|
| 境界確定測量 | 隣地所有者の立会いを得て境界を確定させる | 隣地の数や所有者の所在によって期間と費用が変わる |
| 未登記建物の登記 | 納屋や離れなどを登記簿に登録する | 取り壊す予定かどうかで要否が変わる |
| 相続登記 | 亡くなった方から相続人へ名義を移す | 売却して所有権を移すまでに必要 |
| 残置物の処分 | 家具や荷物を運び出して処分する | 呉市の補助制度の対象になる場合がある |
どの費用を売主が負担し、どこまでを売却前に済ませるかは、売り方によって変わります。仲介で売るのか、買取を選ぶのかによっても、準備の範囲が異なります。
空き家バンクや市の窓口の位置づけ
呉市では、住宅政策課が空き家バンクや空き家に関する支援制度を担当しています。市のページでは、令和8年度の危険建物除却促進事業(危険な空き家の除却への助成)や、空き家等管理サービス事業者登録制度の案内も確認できます。
ただし市の窓口は、制度の案内や空き家バンクへの登録受付が中心です。隣地との境界の調整や、個別の価格交渉まで担う窓口ではありません。制度は市の窓口、境界や登記は専門家、売却の進め方は不動産会社というように、相談先を分けて考えると整理しやすくなります。
✓ポイント:補助制度には申請の期限や「作業前に申請が必要」といった条件があるため、測量や片付けに手をつける前に、使える制度と売却方法をあわせて確認しておくと、補助を受け損なう事態を避けやすくなります。
空き家対策|呉市 https://www.city.kure.lg.jp/life/1/11/51/
境界が曖昧な土地や、登記が古いままの不動産を手放すときの手順は、土地境界トラブルと古い登記の解消手順で詳しく解説しています。
実際の事例
大鵬ハウジングがこれまでに対応した、島の不動産の事例をご紹介します。蒲刈島の事例ではありませんが、同様のケースとして参考にしてください。
建物価値なし・マイナス200万円と言われた物件
他社の査定で建物に価値がないとされ、マイナス200万円が提示されていた物件です。大鵬ハウジングで改めて検討した結果、180万円で売却できました。
残置物が多く、売却を諦めていた物件
体調がすぐれず、家の中に残った荷物を片付けられないまま、売却を諦めていた物件です。荷物を残したままの状態で買取となりました。
一度の査定結果だけで判断せず、別の会社へ相談することで、異なる評価になる場合もあります。
蒲刈島の地域固有情報
橋で本土とつながる、みかんの島
一般に蒲刈島と呼ばれるのは、呉市蒲刈町にあたる上蒲刈島です。上蒲刈島を中心とする旧蒲刈町は、2005年3月20日に呉市へ編入されました。人口は1,423人(令和2年国勢調査)です。
本土側から安芸灘大橋で下蒲刈島へ渡り、1979年10月に開通した蒲刈大橋で上蒲刈島へ入ります。さらに豊島大橋で豊島へ続く「安芸灘とびしま海道」の途中にあり、車で行き来できる点は、フェリーのみの島とは異なる特徴です。
山の中腹までみかんなどの果樹園が広がる島で、斜面の石垣や畑が宅地と隣り合う土地もあります。母屋の敷地と畑が一続きになっている場合は、どこまでが宅地でどこからが農地かを、登記の地目とあわせて確認しておく必要があります。
斜面の土地で境界を確かめるときの注意点
斜面に家や畑が並ぶ土地では、石垣の上端と下端のどちらが境界なのか、所有者自身も把握していないことがあります。石垣そのものがどちらの土地に属するかによって、将来の補修を誰が担うかも変わってきます。
また、畑を長く使わないうちに草木が茂り、境界の目印が見えにくくなっている場合もあるでしょう。現地を確認する前に、次の点を整理しておくと話が早く進みます。
- 親族やご近所から聞いている「ここまでがうちの土地」という目安
- 石垣や生け垣、水路など、境界の目印になってきたもの
- 草刈りや石垣の補修を、これまで誰が担ってきたか
こうした情報は、境界を知る方が島にいるうちに確かめておくほど集めやすくなります。境界を知る隣家の高齢の方が亡くなり、相続人との間で境界の認識が食い違って買い手が離れてしまったケースもあります。境界の手がかりは、時間とともに失われていく情報だと考えておくと、相談の時期を判断しやすくなります。
呉市空き家家財道具等処分支援事業(令和8年度)
家財の片付けを検討している場合は、呉市の補助制度が使える可能性があります。令和8年度の主な条件は次のとおりです。
- 対象:市内の戸建ての空き家に残る家財道具等を処分する所有者等
- 補助額:処分費用の2分の1、上限10万円(予算の範囲内)
- 要件:交付決定後に呉市空き家バンクへの登録、または宅地建物取引業者との媒介契約を結ぶこと、市税の滞納がないことなど
- 期限:令和8年4月13日から受付、交付申請期限は令和8年12月15日
家財を処分する前に申請しておかないと、補助の対象になりません。解体予定の物件や、すでに媒介契約を結んでいる物件も対象外です。予算の状況によっては期限前に受付を締め切る場合があるため、最新の状況は呉市住宅政策課の案内でご確認ください。
呉市空き家家財道具等処分支援事業|呉市 https://www.city.kure.lg.jp/soshiki/46/akiyakazaidougusyobun.html
よくあるご質問
遠方に住んでいても、蒲刈島の不動産を売却できますか
売却の相談は可能です。オンラインでの打ち合わせ、鍵の郵送、IT重説などを組み合わせることで、現地へ行く回数を抑えて進められる可能性があります。必要に応じて専門家による本人確認を行う場合もあります。どこまで遠隔で進められるかは物件の状況によって変わるため、まずは現在の状況をお聞かせください。
相続登記が終わっていない土地でも相談できますか
相続登記が済んでいない状態でも、査定や売却の相談はできます。ただし、実際に買主へ所有権を移すまでには、相続関係を整理して登記を進める必要があります。相続登記は2024年4月1日から義務化されており、正当な理由なく期限内に申請しない場合は、10万円以下の過料の対象となることがあります。
隣の土地の所有者と連絡がつかない場合はどうなりますか
隣地の所有者が島外に移っていたり、相続で所有者が分からなくなっていたりする場合もあります。所有者の調査は、登記の記録をたどる方法などで進めます。話し合いで境界が決まらない場合には、法務局の筆界特定制度を利用する方法もあります。どの手段が適しているかは、土地家屋調査士や司法書士と相談しながら判断します。
他社でマイナス査定と言われた物件でも相談できますか
相談できます。境界や残置物の課題があると、一般的な査定では価値がつきにくくなる場合があります。大鵬ハウジングでは、一般的な査定とは異なる視点から売却方法を検討します。仲介だけでなく、買取や管理なども含めて複数の選択肢を比べられます。
まとめ

蒲刈島の不動産で境界が分からない場合のポイントは、次の3点です。
- 境界を確定させてから売る方法のほかに、境界非明示や現況有姿で取引する方法もある(物件ごとに専門家への確認が必要)
- 解体や測量の見積もりより先に査定を受け、今の状態で売れる可能性を把握する
- 呉市の家財処分の補助は作業前の申請が必要なため、片付けの前に制度と売却方法をあわせて確認する
大鵬ハウジングでは、境界や未登記建物の問題について土地家屋調査士や司法書士と連携し、島内だけでなく全国の買主候補を対象に売却活動を行います。境界と登記の整理の進め方は土地境界トラブルと古い登記の解消手順で、遠方からの相談方法を含む島の不動産の売却全般は離島の空き家レスキューでご確認いただけます。

