オフィシャルブログ大鵬ハウジング 社長
久保 友宏
【愛知郡】共有空き家を売る前に知る、合意の取り方|兄弟で決める前に

相続した実家が兄弟の共有名義になっていて、売りたいのに話がまとまらない。地元では買い手が見つからず、兄弟はそれぞれ県外にいる——滋賀県愛知郡の愛荘町で空き家を抱える方から、そうしたご相談が寄せられます。共有名義の空き家は、不動産全体を売却する場合、原則として共有者全員の合意が必要です。自分の持分だけなら単独で処分できる場合もありますが、価格や親族関係への影響に注意が求められます。株式会社大鵬ハウジングは、提携する司法書士や弁護士と連携し、こうした共有の空き家を整理してきました。この記事では、共有名義の仕組みから合意の取り方、売却までの流れを整理します。
共有名義の空き家とは
共有名義とは、ひとつの不動産を複数の人で持ち合う状態です。どういう経緯で共有になり、放置すると何が起きるのかを押さえておきましょう。
なぜ空き家が共有名義になるのか
共有名義が生まれる典型的なパターンは、次のとおりです。
- 遺産分割の話し合いをしないまま、法定相続分の割合で兄弟が相続した
- 一人の名義にまとめると不公平になるため、あえて複数人の共有にした
- すでに共有だった不動産の名義人が亡くなり、その相続人がさらに加わった
「とりあえず全員の名前で」という判断はよくありますが、その状態が長く続くほど、あとで動かしにくくなります。
共有のままだと何が困るのか
見落とされがちなのが、共有物は行為の内容で必要な同意の範囲が変わる点です。
| 行為の種類 | 具体例 | 必要な同意 |
|---|---|---|
| 保存行為 | 雨漏りを防ぐ応急修繕 | 各共有者が単独でできる |
| 管理行為 | 賃貸に出す(短期の賃借権設定など) | 持分価格の過半数 |
| 変更・処分行為 | 売却、建物を大きく変える工事 | 原則として共有者全員 |
つまり、不動産全体を売る場面がもっともハードルが高いわけです。固定資産税も共有者全員に納税義務があり、誰か一人に負担が偏りがちです。さらに、名義を放置したまま次の相続が起きると共有者は雪だるま式に増え、面識のない親族まで関わってきます。
誰も管理しないまま放置すると
共有名義でつまずきやすいのが、日々の管理です。兄弟の誰もが遠方に住むと、草刈りや通風が誰の役目とも決まらず、空き家は少しずつ傷みます。近所の目が届く地域ほど、伸びた草木への苦情も届きやすいものです。
放置が続くと、市町村から助言・指導を受けることがあります。2023年12月施行の改正空家法では、放置すれば特定空家になるおそれのある家屋が「管理不全空家」として指導・勧告の対象になりました。勧告を受けると敷地の住宅用地特例が外れ、固定資産税の負担が増える場合があります。
もっとも、いきなり税負担が跳ね上がるわけではなく、助言・指導の段階で対応すれば改善できます。「誰が見に行くのか」を押し付け合う前に、家の方針を決めるほうが負担は軽く済みます。
空き家対策特設サイト|国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/akiya-taisaku/articles/2024020105.html
共有名義の空き家を売る方法
手放す方法は大きく二つ。共有者全員で不動産全体を売る方法と、自分の持分だけを売る方法があり、それぞれ向き不向きがあります。
全員の合意で不動産全体を売る
もっとも一般的なのは、共有者全員が売主となって不動産全体を売る方法です。買主にとっては通常の不動産を購入するのと同じで、買い手も付きやすく、価格も相応に見込めます。全員が売買契約に署名・押印し、代金は持分の割合に応じて分けます。
自分の持分だけを売る場合
自分の持分だけなら、他の共有者の同意がなくても単独で売れます。ただし慎重さが求められます。
- 持分のみを買い取る相手は限られ、価格も低くなりやすい
- 第三者に売ると、残った共有者との関係がこじれやすい
- 共有関係そのものは解消されず、根本的な整理にはつながりにくい
急いで持分だけを手放すより、まずは全体売却に向けて合意を目指すほうが、金額の面でも人間関係の面でも無理がありません。共有のルールは2023年4月施行の改正民法で整理されましたが、どの規定が当てはまるかは事情によります。
民法|e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
兄弟で揉めやすいポイントと合意の取り方
話がこじれる原因は限られています。多くは「意見や価格の食い違い」と「連絡の取れない共有者の存在」のどちらかです。火種を先に知れば、感情的な対立を避けやすくなります。
意見や価格が食い違うとき
兄弟の間でよく起きるのが、次のようなすれ違いです。
- 「売りたい」派と「残したい」派で方針が割れる
- 地元の業者に断られた経験から「どうせ売れない」と諦める人と、売却を望む人で前提がずれる
- 解体費や登記費用など、費用を誰がどれだけ負担するかで揉める
- 思い出の詰まった実家を手放すことへの感情的な抵抗が出る
とくに買い手が付きにくい地域では、二つ目のすれ違いが根深くなります。「売れない」という前提のままでは方針は決まりません。査定額や費用という客観的な事実を第三者から示してもらうと、話の土台がそろいます。
連絡が取れない共有者がいるとき
もう一つの難所が、所在の分からない共有者がいるケースです。相続を重ねた結果、面識のない相続人が共有者になっていることは珍しくありません。全体売却には全員の合意が必要なため、一人でも連絡が取れないと売却が止まります。
改正民法では、調査を尽くしても所在が分からない共有者(所在等不明共有者)がいる場合、裁判所の手続きを通じてその持分を取得したり、不動産全体を第三者へ譲渡する権限を得たりできる制度が設けられました。ただし、次の点に留意が必要です。
- 所在等不明共有者の持分が、共同相続人間で遺産分割すべき相続財産に属する場合は、原則として相続開始から10年の経過が要件になる場面がある
- 裁判所の審理や公告、持分の価額に相当する金銭の供託などの手続きを経る必要がある
すぐ解決するものではなく、使えるかは専門家への確認が要ります。それでも、共有者が増える前に動くほど選択肢は残ります。揉める前に、まず現状を整理することが近道です。
所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)|法務省 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html
円満に合意を進める手順
合意形成は、話を切り出す順番で結果が変わります。事実の確認から始め、方針のすり合わせへ進むのが基本です。
5つのステップ
ステップ1:共有者と持分を確定する
登記簿を取り寄せ、誰がどれだけの持分を持つかを把握します。
ステップ2:物件の価値と費用を把握する
評価額と、解体費・登記費用・税金などの支出を整理します。
ステップ3:方針をすり合わせる
全体を売るのか、持分を整理するのか。ステップ2の数字を材料に確認します。
ステップ4:窓口を一本化する
代表者が連絡役を担うと、情報の行き違いが減ります。
ステップ5:専門家を交えて契約に進む
合意が固まったら、司法書士や不動産会社と連携して契約・決済へ。
この順番を踏めば、感情のぶつかり合いになりがちな話し合いが、事実にもとづく相談に変わります。先に数字と手続きを共有することが、円満な合意への近道です。
相続登記は済んでいるかを確認する
ステップ1と並行して確かめたいのが、相続登記の状況です。2024年4月1日から相続登記は義務化され、不動産を相続で取得したと知った日から原則3年以内の申請が必要です。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になりえます。施行日より前に相続した不動産も対象で、2027年3月31日までの申請が求められます。
親名義のまま、あるいは登記が途中で止まっている実家は珍しくありません。名義が古いままでは売却手続きに進めないため、売却準備とあわせて早めの確認が安心です。
相続登記の申請義務化について|法務省 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html
専門家連携でトラブルを避ける
共有名義の空き家は法律や登記の知識が絡み、当事者だけで進めるのは負担が重くなりがちです。株式会社大鵬ハウジングは、次の体制で共有の空き家を扱っています。
- 弁護士・司法書士・土地家屋調査士などの提携専門家と連携し、法的な整理から売却まで一つの窓口で任せられる
- 買取の場合、相続登記・所有権移転登記などの費用を当社側で負担できるケースがある
- 各担当者に2,000万円以内の決裁権があり、平日であれば当日の買取も可能(金額やスピードは物件の条件によります)
- 全国対応のため、地元だけでは見つかりにくい買主を広く探せる
- 他社で断られた物件やマイナス査定の物件でも、あらためて査定に応じる
売却後に「聞いていない不具合が見つかった」と請求される不安についても、備えがあります。売主様の契約不適合責任は、原則として免責としています(契約書に明記)。ただし、雨漏りやシロアリ被害など、すでにご存じの不具合がある場合は、事前にお伝えください。こうした取り決めを契約書に残すことで、これまで売却後のトラブルは起きていません。
相談件数は年間およそ2,400件、成約は年間300〜400件にのぼります。関係者が多い案件でも、窓口を一つにまとめれば、やりとりの手間と手続きの抜け漏れを減らせます。
愛知郡の共有空き家の実情
滋賀県の愛知郡に属する愛荘町は、びわ湖の東側に広がる湖東地域にあり、人口はおよそ2万人です。旧中山道の宿場町として栄えた歴史を持ち、町全体の約4割を田畑が占める田園地域でもあります。
地元では買い手が見つからないという壁
町では今後の人口減少と高齢化が見込まれ、空き家の増加も課題とされています。この地域の共有空き家には、次の事情が重なりがちです。
- 兄弟が就職や結婚で県外へ出て、相続人が各地に散っている
- 地元の業者に相談しても買い手が見つからず、「価値がない」と受け止めてしまう
- 帰省のたびに草刈りや片付けに追われ、管理の担い手が高齢化していく
ただ、買い手が見つからないことと、価値がないことは違います。大鵬ハウジングは全国対応のため、地元だけでは出会えない買主を広く探せます。他社でマイナス査定となった物件をプラス査定で買い取った実績もあります。愛荘町も移住への関心の高まりを受け、空き家を地域の資源として活かす取り組みを進めています。
田畑や山林、倉庫が付いた実家を相続したとき
町の約4割を田畑が占める地域柄、母屋だけでなく田畑や山林、農機具の倉庫が一式で共有になっているケースも目立ちます。この付帯部分が、話し合いを止める原因になりがちです。
気をつけたいのは、田畑が農地に該当する場合、宅地と同じ感覚では売買できないことがある点です。農地の売買や貸借には、農地法にもとづく許可や農業委員会への確認が要る場合があります。まとめて扱えるかは、登記地目や現況で変わります。
権利関係が複雑なほど、共有者だけで調べきるのは困難です。土地家屋調査士などと連携する窓口に相談すれば、扱える範囲と評価を一度に確かめられます。「田畑付きだから」と諦める前に、現状の確認を。
解体費用の負担でつまずかないために
古い実家では「まず解体してから」と考えがちですが、解体費の負担割合が新たな火種になります。共有名義では費用も持分に応じて分け合うのが基本で、誰か一人が立て替えると精算の問題が残ります。建物を残したまま売却できれば、解体費をかけずに済むこともあり、壊す前に売れるかを確かめると選択肢が増えます。
愛荘町の空き家対策について|愛荘町 https://www.town.aisho.shiga.jp/soshiki/mirai/2/1_1/1/6694.html
愛知郡で共有名義の空き家を相談するには
愛知郡(愛荘町)で共有名義の空き家に迷ったら、売買を決める前に現状を整理すると安心です。相談の前に、次の書類があると話が早く進みます。
- 登記簿(登記事項証明書)や、名義の分かる資料
- 固定資産税の納税通知書
- 相続関係が分かる資料(戸籍や遺産分割の記録など)
- 農地や山林が付く場合は、その資料もあわせて
すべてそろっていなくても構いません。「兄弟で共有していて、どう進めればいいか分からない」段階から相談できます。早く動くほど、選べる道は広がります。
まとめ

共有名義の空き家は、不動産全体を売るなら共有者全員の合意が必要です。それでも、合意を取りつける順番さえ押さえれば、兄弟で揉めずに手放せます。感情論から入らず、持分の確認・相続登記の状況・評価と費用をそろえてから方針をすり合わせること、共有者が増える前に動くことがポイントです。地元で買い手が見つからなくても、全国に目を向ければ道が開けることは少なくありません。
滋賀県愛知郡の愛荘町で、共有名義の空き家に頭を悩ませている方は、株式会社大鵬ハウジングにご相談ください。提携専門家との連携で、法的な整理から売却までを一つの窓口でお手伝いします。兄弟で結論を出す前に、まずは現状を整理することから始めてみてください。



