オフィシャルブログ大鵬ハウジング 社長
久保 友宏
【廿日市市】施設に入った親の空き家、家族が売るには何を確かめる?
たとえば、母親が施設に入所し、阿品台の実家が誰も住まない家になったとします。広島市内で暮らす50代の長女がまず戸惑うのは、「名義は母なのに、自分が売ってよいのか」という点ではないでしょうか。親が施設に入って空き家になった実家は、名義人である親が売却の意味や結果を理解し、自分で意思表示できる状態かどうかによって、取るべき手続きが変わります。本人が売却について判断できれば親本人が売主として進められますが、判断能力が不十分な場合は、その程度に応じて法定後見制度(後見・保佐・補助)の利用を検討します。成年後見人等が本人に代わって居住用不動産を売却する場合には、家庭裁判所の許可が必要になることがあります。この記事では、廿日市市で親名義の空き家を抱えたご家族に向けて、名義の確かめ方から後見を使った売却の流れ、市内の相談先までを順に整理しました。全国で空き家の買取・売却に携わる株式会社大鵬ハウジングが、専門家と連携して進める実務の目線でお伝えします。
親の入所で実家が空き家になったとき起きること
施設への入所は、ある日突然決まることがあります。転倒や入院をきっかけに在宅での生活が難しくなり、退院と同時に施設へ移る、という流れもあります。家の片付けや今後の方針を話し合う余裕がないまま、実家だけが残されるのです。
誰も住まない実家に起きる変化
人が住まなくなった家は、思っている以上に早く傷みます。窓を開けない、水を流さないといった状態が続くと、湿気がこもり、配管や木部の劣化が進みやすくなります。
入所後の実家でよく起きる変化には、次のようなものがあります。
- 換気されず、カビや室内のにおいが強くなる
- 庭木や雑草が伸び、隣家や道路にはみ出す
- 郵便物がたまり、留守だと外から分かってしまう
- 雨漏りに気づくのが遅れ、傷みが広がる
当社に寄せられたご相談にも、一度検討したあと数年悩んでいるあいだに、空き巣と雨漏りが重なって危険家屋の状態になってしまった例があります。
施設費と実家の維持費が重なる
家族の負担を重くするのが、お金の二重払いです。施設の利用料が毎月かかる一方で、誰も住んでいない実家にも費用が出ていきます。
| 施設側でかかるもの | 実家側でかかるもの |
|---|---|
| 施設の利用料・食費 | 固定資産税などの税金 |
| 医療費・介護サービスの自己負担 | 電気・水道の基本料金 |
| 日用品や衣類の購入費 | 火災保険料(加入している場合) |
| — | 草刈りや修繕、見回りに通う交通費 |
施設費は親本人の年金や預貯金から支払うのが基本ですが、足りなくなれば実家の売却代金を充てたい、という話が自然に出てきます。ところが名義人が親である以上、ここで「誰が売る判断をするのか」という問題にぶつかります。
家の傷みもお金の負担も、時間とともに少しずつ大きくなっていきます。どちらも入所した時点から始まっている、と捉えておくことが出発点になります。
親名義の実家を家族が手放せるか
結論からいえば、子どもであっても、親名義の家を自分の判断だけで売ることはできません。売れるかどうかは、名義人である親の状態によって分かれます。
まず登記簿で名義を確かめる
最初にしたいのは、実家の名義が本当に親になっているかの確認です。法務局で登記事項証明書を取ると、所有者の名前が分かります。
調べてみると、次のようなケースが見つかることがあります。
- 父が亡くなったあと、名義が父のまま残っている
- 祖父母の代から名義が変わっていない
- 両親の共有名義になっている
亡くなった方の名義のままなら、先に相続登記が必要です。相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続で取得したことを知った日から3年以内に申請することになりました。施行前の相続も対象で、2027年3月31日までに登記が必要です。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となりうるため、名義の確認は早めに済ませておくと安心です。期限内に手続きが難しい場合は、暫定的な対応として相続人申告登記という制度もあります(別途、本来の相続登記は必要です)。
| 名義と親の状態 | 売却の進め方 |
|---|---|
| 親名義・判断能力がある | 親本人が売主として契約する |
| 親名義・判断能力が不十分 | 状態に応じて後見・保佐・補助を検討。成年後見人等が本人に代わって居住用不動産を売却する場合は家庭裁判所の許可が必要 |
| 亡くなった方の名義のまま | 相続人を確定し、相続登記をしてから売る |
親に判断能力がある場合
体は弱っていても、話をしっかり理解できる状態であれば、親本人が売主となって売却できます。施設で暮らしていても、この点は変わりません。
家族が不動産会社との連絡や資料の準備を補助することはできますが、親本人が売主となる場合は、本人が売却条件や契約の内容を理解し、自分で意思表示できることが前提です。司法書士に登記手続きを依頼する場合は、本人確認や意思確認のため、施設で面談することもあります。
また、判断能力があるうちなら、任意後見契約や家族信託を検討できる場合もあります。今は売るつもりがなくても、将来に備えて選択肢を知っておく意味はあります。
判断能力が不十分な場合
認知症などで、売ることの意味や結果を理解するのが難しい状態になっていると、本人は有効に契約できません。子どもが代わりに署名しても、その契約は法的に認められないおそれがあります。
この場合に検討するのが法定後見制度です。現行の制度には、判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3つの類型があり、どれにあたるかは医師の診断書などをもとに家庭裁判所が判断します。保佐人・補助人(成年後見人とあわせて「成年後見人等」)が本人に代わって実家を売るには、不動産の処分について代理権が与えられている必要があります。
家族を候補者として申し立てることはできますが、誰を成年後見人等に選ぶかは家庭裁判所が決めるため、弁護士や司法書士などの専門職が選ばれることもあります。
親がどちらの状態にあるのかは、家族だけでは判断しにくいものです。主治医や施設の職員の意見を聞き、名義の確認とあわせて整理しておくことが、売却へ進む最初の一歩になります。
成年後見を使って実家を売るときの流れ
成年後見人等が選ばれたあとも、すぐに実家を売れるわけではありません。親が住んでいた家には、特別なルールがあるためです。
施設入所中でも「居住用不動産」にあたる
成年後見人等が本人に代わって本人の住まいを売るには、家庭裁判所の許可が必要です(民法859条の3など)。ここでいう住まいには、今まさに住んでいる家だけでなく、施設に入所していて今は住んでいない実家も含まれることがあります。
つまり「もう誰も住んでいないから普通に売れる」とは限りません。許可を得ないまま売却すると、その契約は無効になります。
家庭裁判所の許可を得るまでの手順
大まかな流れを段階ごとにまとめると、次のようになります。
| 段階 | 主な内容 | 関わる人 |
|---|---|---|
| ① 後見・保佐・補助開始の申立て | 本人の住所地の家庭裁判所へ申し立てる | 家族・司法書士・弁護士 |
| ② 成年後見人等の選任 | 家庭裁判所が審理し、類型と成年後見人等を決める | 家庭裁判所 |
| ③ 売却先と条件の決定 | 査定を受け、買主と価格・条件を固める | 成年後見人等・不動産会社 |
| ④ 許可の申立て | 売却の必要性や価格の妥当性を示して申し立てる | 成年後見人等 |
| ⑤ 許可・決済 | 許可が出てから引き渡しと代金の受け取り | 成年後見人等・買主・司法書士 |
許可を申し立てる段階では、売却の必要性や価格が妥当かどうかを示す資料を求められます。そのため、許可が出ることを条件にした契約書の案を用意し、買主や条件を先に固めておくのが一般的です。申立てから選任まで、選任から許可までのそれぞれに審理の時間がかかるので、全体としては数か月単位で考えておくほうが現実的です。
2026年の法改正と現行制度の関係
成年後見制度は、2026年に大きな見直しが決まりました。改正法は2026年6月17日に成立し、6月24日に公布されています。後見と保佐を廃止して補助に一元化し、本人に必要な範囲で制度を利用できるようにする、という内容です。
ただし、成年後見制度の見直しが施行されるのは、公布の日から2年6か月を超えない範囲で政令で定める日です。それまでは現行の制度で手続きが進みます。改正を待つかどうかは、施設費の状況や家の傷み具合によって答えが変わるため、専門家に相談したうえで判断することをおすすめします。
制度が変わる時期であっても、最初にすべきことは変わりません。まず名義人の状態と、誰が判断者になるのかを確認することが、法定後見制度を使った売却の入り口です。
「民法等の一部を改正する法律」(成年後見及び遺言の制度の見直し)について|法務省 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00410.html
空き家のまま置いておくリスク
手続きが大変そうだからと、しばらく様子を見るご家族もいます。ただ、空き家のまま時間が経つと、次のような負担が積み重なります。
- 建物の劣化が進み、査定額が下がりやすくなる
- 雨漏りやシロアリ被害が広がり、修繕か解体かの判断を迫られる
- 庭木の越境や建物の破損で、近隣から苦情が届く
- 空き巣や不法投棄の被害にあう
税金の面にも注意が必要です。2023年12月施行の改正空家法で、管理不全空家という区分が新設されました。管理不全空家や特定空家として市から勧告を受けると、その敷地は住宅用地の軽減措置の対象から外れ、固定資産税の額が変わることがあります。どの程度増えるかは、評価額や負担調整措置などによって異なります。勧告の前には指導(特定空家は助言・指導)の段階があり、その時点で適切に管理すれば回避できるため、過度に心配する必要はありません。
放置のリスクは急に来るものではなく、少しずつ積み重なるものです。管理を続けられるかどうかを、家族で一度話し合っておくと判断しやすくなります。
専門家と連携して手続きから売却まで進める
親名義の空き家は、登記・後見・相続・税金と、いくつもの専門分野にまたがります。窓口がばらばらだと、家族はそれぞれの専門家に同じ説明を何度も繰り返すことになります。
提携専門家が手続きを担当する
当社は、弁護士・司法書士・行政書士・土地家屋調査士・税理士・FP2級・残置物処分業者と提携しています。当社が窓口となり、登記申請や法律相談などの専門業務はそれぞれの資格者が担当します。
後見・保佐・補助開始の申立てや相続登記は司法書士や弁護士へ、売却後の税金は税理士へ、というように、必要な専門家に当社からつなぎます。家財が残ったままでも、残置物処分業者と連携して片付けから相談できます。
窓口となる担当者についても、体制を整えています。全スタッフが工務店または大手不動産会社での実務経験10年以上。訪問調査から契約・決済まで同じ担当者が一貫して対応します。後見のように期間が長くなる手続きでも、途中で担当が変わらないため、経緯を一から説明し直す必要がありません。
家族の迷いを聞くところから始める
親の家を手放す話は、手続き以上に気持ちの整理が難しいものです。思い出のある家を売ってよいのか、兄弟姉妹は納得するのか、と迷いを抱えたまま相談に来られる方も多くいます。
当社では、子どもから資産整理を強く迫られ、精神的に追い詰められていた売主様のお話を何時間も伺い、そのうえで買取を進めたことがあります。必要な手続きは当社が窓口となって提携専門家と連携して進め、専門用語はかみ砕いてお伝えしています。
売却後の不安についても、あらかじめお伝えしています。当社の買取では、売主様の契約不適合責任は原則として免責としています(契約書に明記)。ただし、雨漏りやシロアリ被害など、すでにご存じの不具合がある場合は、事前にお伝えください。売却後のトラブルは0件です。
手続きの窓口を一つにまとめ、家族の迷いを聞くところから始める。この二つがそろうと、親の実家を手放す負担はかなり軽くなります。
廿日市市で親の実家を手放すときの考え方
廿日市市は、広島市の西隣に位置する人口114,345人(令和8年8月1日現在)の市です。沿岸部の住宅地から、佐伯地域・吉和地域の中山間地、宮島まで、性格の違う地域を抱えています。
広島市に隣接する住宅地の実家
市の沿岸部には、JR山陽本線や広島電鉄宮島線で広島市中心部と行き来できる住宅地が広がっています。阿品台や四季が丘のような住宅団地でも、親が住み続ける一方で、子ども世代が広島市内など別の場所で暮らしているご家庭では、施設入所をきっかけに実家が空き家になることがあります。冒頭の例のように、車で行ける距離に住んでいるからこそ、「いつでも見に行ける」と判断を先送りしやすい面があります。
同じ市内でも、実家ごとに条件は異なります。売却時の評価は、次のような点によって変わります。
- 駅からの距離
- 坂道の有無
- 接道条件
- 築年数
- 建物の状態
市も空き家対策に力を入れており、令和8(2026)年から令和17(2035)年までの10年間を期間とする新しい「廿日市市空家等対策計画」を策定しています。所管は住宅政策課で、市全域の主に一戸建て住宅が対象です。
市内で使える後見・相続の相談先
後見の手続きを考え始めたら、市内の公的な相談先も頼りになります。
- 廿日市市成年後見利用促進センター:廿日市市社会福祉協議会が運営し、山崎本社みんなのあいプラザ内にあります。制度の仕組みや手続きの流れを説明し、専門職に相談できる相談会も開いています。開設時間は平日の午前9時から午後5時です。
- 相続・後見相談:市とNPO法人ひろしま相続・後見サポートセンターの共催で、行政書士や税理士などが相談に応じます。無料・予約不要で、おおむね毎月第2日曜日の午後に、みんなのあいプラザ会議室で開かれています。
- 地域包括支援センター:介護や認知症の相談とあわせて、成年後見制度についても相談できます。
開催日や受付時間は変わることがあるため、最新の情報は市や社会福祉協議会の案内で確認してください。制度の相談は公的窓口で、売却の見通しは不動産会社で、と使い分けると、手続きと売却を並行して考えやすくなります。
廿日市市で親名義の空き家を相談するには
当社へのご相談は、次のような流れで進みます。
- 実家の場所と名義、親御さんの現在の状況をお聞きします
- 分かる範囲の情報から調査を進め、不足する情報は確認しながら整理します
- 訪問調査を行い、仲介と買取の両方の見通しをお伝えします
- 法定後見制度の利用や相続登記が必要な場合は、提携する専門家と手順を組み立てます
- 売却の方法と時期を、ご家族で決めていただきます
査定は無料で、交通費や出張費を請求することもありません。当社は大阪1店舗から全国に対応しており、地元の不動産会社では出会えない買主とつながることがあります。年間約2,400件のご相談、300〜400件の成約に携わっています。
成年後見人等が売却する場合は、家庭裁判所の許可が出てから決済となるため、日程は許可の時期に合わせて調整します。親御さんの判断能力が保たれているうちにご相談いただければ、取れる方法の幅も広がります。何を確認すべきかが分かるだけでも、家族の話し合いは前に進みます。
廿日市市の空き家買取・対応エリア
廿日市、本町、串戸、宮内、佐方、桜尾、地御前、阿品、阿品台、四季が丘、平良、上平良、下平良、新宮、峰高、原、宮島口、大野、宮島町、浅原
※上記に記載のない町名でも、廿日市市内であればすべて対応可能です。お気軽にご相談ください。
まとめ

親の入所で空き家になった実家を手放すには、まず登記簿で名義を確かめ、名義人である親の判断能力を確認することから始まります。本人が売却について判断できれば親本人が売主となり、判断能力が不十分であれば、その程度に応じて後見・保佐・補助の利用を検討します。成年後見人等が居住用不動産を売却する場合は、家庭裁判所の許可が必要です。成年後見制度は2026年の法改正で見直しが決まりましたが、施行までは現行の手続きで進みます。
冒頭の例のように、近くに住んでいるご家族ほど判断を先送りしがちです。空き家の傷みや税金の負担は少しずつ積み重なるため、廿日市市成年後見利用促進センターなど市内の相談先も活用しながら、早めに方針を決めておくと安心です。
株式会社大鵬ハウジングは、廿日市市の親名義の空き家についても、売却の窓口を同じ担当者が担いながら、後見や登記が必要な場合は提携する専門家と連携して進めます。まずは今の状況を整理するところから、一緒に考えていきます。
この記事の監修者
株式会社大鵬ハウジング
代表取締役 久保 友宏
地方・田舎の空き家、相続不動産、訳あり不動産などの売却相談に対応。
年間約2,400件の相談実績を持ち、ファイナンシャルプランナーとして不動産売却後の資産整理についてもサポートしています。



