オフィシャルブログ
【新島】島外に住んだままで不動産を売却する手順と必要なもの

新島にある実家を相続したものの、都心や県外で暮らしていて、島へ渡る時間がなかなか取れない。そんな状態のまま、家の扱いを決められずにいる方もいるのではないでしょうか。この記事では、東京都新島村の新島にある不動産を、島外に住んだまま売却するための手順と、準備しておきたい書類や情報を整理しました。離島の不動産売却に取り組む株式会社大鵬ハウジングが、新島村の空き家バンクや補助制度にも触れながら解説します。
結論:新島の不動産は島外に住んだままでも売却を進められる
新島の家を売るために、何度も竹芝から船に乗る必要があるとは限りません。査定の相談や打ち合わせ、契約書類のやり取りなどは、離れた場所からでも進められる方法が整ってきました。
大鵬ハウジングでは、相談から売却手続きまでをオンラインで進められる体制を整えています。ただし、建物の状態や権利関係によっては、現地での確認が必要になる場面もあります。大切なのは「行けないから動けない」と止まらず、遠方から進められる部分を先に動かしておくことです。
理由1:売主側の手続きを遠隔で進める方法がある
売主の方が島へ渡る回数を減らすには、次のような方法を組み合わせます。
- オンラインでの打ち合わせ
- 鍵の郵送によるお預かり
- 契約書類の郵送などによるやり取り
- 必要に応じた専門家による本人確認
物件の状況によって必要な対応は変わりますが、これらを組み合わせることで、来島回数を減らせる場合があります。
また、契約前に宅地建物取引士が行う重要事項説明は、物件を購入する買主に向けたものです。この説明は2021年3月から売買取引でもオンラインで行えるようになり、IT重説(オンラインで重要事項説明を受ける方法)と呼ばれています。大鵬ハウジングはIT重説にも対応しているため、島外に住む買主とも取引を進めやすくなります。
理由2:買主候補は島の外にもいる
島内だけで買い手を探すと、どうしても候補は限られます。一方で、海に囲まれた暮らしを求める移住希望者や、二拠点生活を考える方、サーフィンや釣りを楽しむ方など、島の外にも新島の家に関心を寄せる人がいます。
島内だけでなく、全国の買主候補を対象に売却活動を行えば、所有者が遠方に住んでいても買い手と出会える可能性は広がります。
✓ポイント:島へ渡る日程が決まるまで待つのではなく、手元にある書類と分かる範囲の情報だけで先に相談を始めておくと、現地へ行くべきタイミングと回数を絞り込みやすくなります。
なぜ「島へ行かないと売れない」と感じてしまうのか
島外に住む所有者の方が売却に踏み出せない背景には、いくつかの事情が重なっています。どれも、所有者の方の落ち度によるものではありません。
査定や内見のたびに渡航が必要だと思われている
一般的な不動産売却では、査定の立会い、買主の内見案内、契約、引き渡しと、現地に足を運ぶ場面が続きます。新島までは高速ジェット船でも片道2時間以上かかり、天候によっては欠航もあります。
「売るまでに何度も通うことになる」と想像すると、手をつける前から気持ちが重くなるのは自然なことでしょう。仕事や家族の予定を抱えながら、船の時刻に合わせて休みを取るのは簡単ではありません。
不動産会社の取り扱い体制による事情
本土の不動産会社に相談して「遠くて案内できない」と断られた方もいるかもしれません。担当者が島へ渡る時間と費用を考えると、通常の仲介の範囲では対応しきれないという、会社側の体制の問題が背景にあります。
断られた理由は、建物の価値だけとは限りません。 取り扱う会社の体制が変われば、同じ物件でも話の進み方が変わる場合があります。
取引価格と手間の釣り合い
島の物件は、都市部ほど取引価格が大きくならない場合があります。渡航費や片付け、草刈りの費用と比べて「売っても手元に残らないのでは」と感じる方もいるはずです。
さらに、潮風や台風の影響を受ける環境では、空き家の状態は年単位で変わっていきます。費用の心配から判断を先送りするうちに、選べる売却方法が少しずつ減っていくことも考えられます。
新島の不動産を遠方から売るときに知っておきたい前提
新島までの交通と移動の負担
新島は伊豆諸島の島の一つで、東京都新島村に属しています。同じ村には式根島も含まれ、村役場は新島の本村にあります。なお、鹿児島県にも新島という名前の島があるため、情報を調べるときは「東京都新島村」とあわせて検索すると混同を防げます。
| 交通手段 | 発着地 | 所要時間の目安 |
|---|---|---|
| 高速ジェット船 | 東京・竹芝 → 新島 | 最短2時間20分 |
| 大型客船(夜行) | 東京・竹芝 → 新島 | 最短8時間30分 |
| 飛行機 | 調布飛行場 → 新島 | 30〜45分程度 |
運賃や便数は時期によって変わります。一度の渡航で往復の交通費に宿泊費が加わることを考えると、現地へ行く回数をどこまで減らせるかが、島外に住む所有者にとっての大きな判断材料になります。
島ならではの確認事項
新島の物件を売る際は、本土の住宅とは違う点も確認しておく必要があります。
- 塩害:潮風による金属部分のさびや外壁の傷み
- 台風の影響:屋根材や窓ガラスの破損がないか
- 境界:境界標がなく、古くからの慣行で隣地との線が決まっている
- 未登記建物(法務局の登記簿に登録されていない建物):離れや物置が登記されていない
これらは島の物件では珍しくない事情で、それだけで売れなくなるわけではありません。ただし扱い方は物件ごとに異なるため、土地家屋調査士や司法書士への確認が欠かせません。
航路・所要時間|東海汽船 https://www.tokaikisen.co.jp/boarding/searoute/
新島の不動産売却でよくある誤解と実際
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| 内見や契約のたびに島へ通わなければならない | オンラインの打ち合わせや鍵の郵送などを組み合わせ、現地へ行く回数を減らせる可能性がある |
| 家財を全部運び出さないと売れない | 家財が残ったままでも相談でき、道具類を引き継ぎたい買主もいる |
| 境界や登記を整えるまで売りに出せない | 現在の状態を前提にした取引方法もある(物件ごとに専門家の確認が必要) |
誤解1:内見や契約のたびに島へ通わなければならない
✖ 誤解:買主の内見、契約、引き渡しのたびに新島へ渡る必要がある ○ 実際:打ち合わせはオンラインで行え、鍵を預けることで現地対応を任せられる範囲がある
売主が内見のたびに立ち会う必要は、必ずしもありません。鍵を郵送で預けておけば、現地での案内を不動産会社側で進められる場合があります。オンラインでの打ち合わせ、契約書類のやり取り、必要に応じた専門家による本人確認などを組み合わせれば、売主が島へ渡る回数は、進め方しだいで減らせる場合があります。
誤解2:家財を全部運び出さないと売れない
✖ 誤解:家の中を空にしてからでないと、売りに出せない ○ 実際:残置物(家の中に残っている家具や荷物)があっても相談でき、古い和箪笥や漁具を引き継ぎたい買主もいる
島から大量の荷物を運び出すには船便の手配が必要で、処分費用も本土と同じ感覚では見積もれません。片付けを済ませてから売ろうとすると、それだけで何度も渡航することになりかねません。家財の扱いは、売却方法とあわせて考えると負担を抑えやすくなります。
誤解3:境界や登記を整えるまで売りに出せない
✖ 誤解:境界があいまいで、未登記の建物もあるから、全部整えるまで売れない ○ 実際:境界非明示(土地の境界を新たに測量せず、現在の状態を前提として売却する方法)や、現況有姿(建物や土地を現在の状態で引き渡すこと)での取引という選択肢がある
ただし、どちらの方法も、すべての物件で使えるわけではありません。買主の考え方や物件の状況によっては、測量や登記を済ませる必要が出てきます。土地家屋調査士・司法書士・新島村役場への確認を踏まえて、進め方を決めていくことになります。
島外に住んだまま売却を進める手順
ステップ1:現状を把握する
最初に、物件の今の様子をできる範囲で集めます。最後に島へ行ったのはいつか、鍵はどこにあるか、雨漏りや窓の割れに心当たりはないか、といった情報です。親族や近所の方に様子を見てもらえるなら、写真を送ってもらうだけでも査定の手がかりになります。
ステップ2:権利関係と必要書類を確認する
名義が誰になっているか、相続登記が済んでいるかを確かめます。あわせて、次の書類をそろえておくと、遠方からの相談がスムーズに進みます。
| 書類・情報 | 主な入手先 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 登記済権利証または登記識別情報 | 手元の保管書類 | 所有権移転の登記 |
| 固定資産税の納税通知書 | 新島村役場から届く書類 | 地番や評価額の確認 |
| 登記事項証明書・公図 | 法務局(郵送・オンライン請求も可) | 名義・面積・位置の確認 |
| 本人確認書類・印鑑証明書 | 手元/住所地の役所 | 契約・決済 |
| 戸籍謄本など相続関係の書類 | 本籍地の役所など | 相続登記 |
| 建物の鍵 | 手元 | 査定・案内(郵送で預けられる) |
権利証が見つからない場合でも、専門家による本人確認などの方法で手続きを進められることがあります。書類がそろわないからと、相談自体を後回しにする必要はありません。
ステップ3:解体の見積もりより先に査定を受ける
新島村では令和8年度から空き家の除却(解体)への補助が始まりました。補助があるならまず解体を、と考える方もいるかもしれません。
ただ、解体は元に戻せない選択です。島への移住を考える買主にとって、更地は建築資材を本土から運ぶところから始めることを意味します。建物が残っているほうが、買主が島での暮らしを具体的に描きやすい場合があります。 解体の見積もりを取る前に、古家の状態で売却できる可能性を確認しておくことをおすすめします。
ステップ4:買主を全国に向けて探す
査定の結果を踏まえ、売却の方法を決めます。買主を探す仲介か、不動産会社が直接買い取る買取かで、期間や手元に残る金額の考え方は変わります。
新島は東京都に属し、都心から船や飛行機で行ける島です。島内だけでなく、首都圏を含む全国の移住希望者や二拠点生活を考える方に情報を届けることで、遠方の売主と遠方の買主を結ぶ取引も成り立ちます。島の環境や地域性を理解する買主とのマッチングを目指すことも、売却後に近隣とのトラブルを残さないために欠かせない視点です。
遠方からの売却にかかわる制度と公的窓口
買主向けのオンライン重要事項説明と相続登記
重要事項説明は、物件を購入する買主に対して行われるものです。国土交通省は2021年3月30日から、売買取引のIT重説を本格運用しており、一定の要件のもとで行われたオンラインでの説明は、対面での説明と同じように扱われます。2022年5月からは、重要事項説明書などを電子書面で交付できるようにもなりました。買主もオンラインで説明を受けられるため、島外に住む買主との取引でも、日程を調整しやすくなっています。
相続した不動産を売る場合は、相続登記の状況も確認が必要です。相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続で不動産を取得したと知った日から3年以内の申請が求められています。2024年4月1日より前に相続で不動産を取得したことを知っていた場合は、原則として2027年3月31日までに申請が必要です。2024年4月1日以降に取得を知った場合は、知った日から3年以内が期限となります。正当な理由なく申請しない場合は、10万円以下の過料の対象となり得ます。
相続登記が済んでいなくても、査定や売却の相談は始められます。 実際に買主へ名義を移すまでに必要な登記を進めればよいため、司法書士と連携しながら並行して準備する方法もあります。
空き家バンクや公的窓口の位置づけ
新島村には空き家バンクがあり、島で家を探す人に物件情報を届ける仕組みとして運営されています。窓口は役場の企画財政課企画調整室です。
一般に空き家バンクは、売りたい人と買いたい人をつなぐマッチングの仕組みです。売買の条件調整や登記手続きまで自治体がすべて担うわけではなく、そこは当事者や不動産会社、専門家の役割になります。空き家バンクと不動産会社への相談は、どちらか一方を選ぶものではありません。
✓ポイント:相続登記の期限や補助制度の申請期間など、期限が決まっている手続きは、売却の相談と同時に確認しておくと、あとから日程に追われずに済みます。
不動産の売買取引に係るオンラインによる重要事項説明(IT重説)の本格運用について|国土交通省 https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo16_hh_000001_00013.html
遠方から島の物件を売る際の流れや注意点は、遠隔地からの島物件売却手続きと注意点でさらに詳しくまとめています。
実際の事例
新島の物件ではありませんが、参考となる事例を紹介します。
| 物件の状況 | 結果 |
|---|---|
| 解体を予定していた物件 | 査定を実施し、解体せず、持ち出しなく売却 |
| 他社査定で建物価値なしとされ、マイナス200万円が提示されていた物件 | 180万円で売却 |
| 体調が悪く、残置物が多くて片付けられず、売却を諦めていた物件 | 家財が残ったままの状態で買取 |
一度の査定結果だけで判断せず、別の会社へ相談することで異なる評価になる場合もあります。 解体や片付けの見積もりを取る前に、今の状態でどのような選択肢があるかを確かめておくと判断の材料が増えます。
よくあるご質問
一度も新島へ行かずに売却まで進められますか?
相談から売却手続きまでをオンラインで進められる体制はありますが、すべての物件で現地へ行かずに済むとはお約束できません。建物の状態や境界の確認、権利関係の整理の内容によっては、現地での対応が必要になる場面もあります。オンラインでの打ち合わせや鍵の郵送、契約書類のやり取りなどを組み合わせ、所有者の方が島へ渡る回数をできるだけ減らす進め方を一緒に検討します。
相続登記がまだ終わっていませんが、相談できますか?
相談や査定は、相続登記が済んでいない段階でも可能です。ただし、買主へ名義を移すには、相続関係を整理したうえで登記を済ませる必要があります。相続人が複数いる場合は、売却について全員の考えをそろえておくことも欠かせません。司法書士と連携しながら、登記の準備と売却の検討を並行して進める方法もあります。
本土の不動産会社で「扱えない」と断られました。
断られた理由が、建物の価値ではなく、島へ案内に行けないという体制の問題だった可能性もあります。他社で断られた物件についても、まずは状況を確認します。マイナス査定とされた物件でも、買取や仲介、管理など複数の選択肢から売却方法を検討することで、別の結論になる場合があります。
家の中に家財や漁具がたくさん残っています。
家具や荷物、古い道具類が残ったままでも相談できます。島から荷物を運び出すには船便の手配が必要で、処分のためだけに何度も渡航するのは大きな負担です。残っている物の中には、買主が引き継ぎたいと考える物が含まれていることもあります。処分を始める前に、残したままで売却できるかを確認しておくと安心です。
新島村の空き家バンクと補助制度
人口と島の暮らし
新島村(新島・式根島)の人口は、新島村公式サイトによると令和8年9月1日現在2,334人です。村の空き家バンクのページでは、昭和60年代に4,000人近くあった人口が減少し、高齢化率が30%を超えていると説明されています。
新島は、島で採れるコーガ石(抗火石)や、白い砂浜が続く羽伏浦海岸で知られる島です。島の暮らしには、地域ごとに自治会活動や生活上のルールがあります。こうした環境を理解したうえで住みたいと考える買主に届けることが、島に家を残す側にとっても安心につながります。
新島村空き家バンクの仕組み
新島村の空き家バンクに物件を登録するには、登録申込書を役場の企画調整室へ提出します。提出はFAXやメールでも受け付けると案内されているため、島外に住む所有者でも手続きを始めやすい仕組みです。
- 提出した書類をもとに、村が協議して登録の可否を決定する
- 登録が決まると、村の移住定住ポータルサイト「Flowlife」で告知され、内見の募集が始まる
- 土地と建物の所有者が異なる場合や、土地が共有の場合は追加の書類が必要になる
定住化対策事業交付金と空き家除却事業補助金
新島村では令和8年度に、空き家の改修を支援する交付金の内容が改訂され、解体を支援する補助金が新たに設けられました。
| 制度 | 主な対象者 | 交付率・上限 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 定住化対策事業交付金(改修等) | 空き家バンクに登録済み・登録予定の所有者、またはバンクの物件を購入・賃借し10年以上住む意思のある方 | 80%・上限500万円 | 昭和56年6月1日以降に着工した建物(耐震性の証明がある場合などは例外あり) |
| 定住化対策事業交付金(伐開) | 同上 | 50%・上限50万円 | 敷地内の樹木や草木の伐採など |
| 空き家除却事業補助金 | 空き家の所有者またはその相続人 | 80%・上限500万円 | 昭和56年5月31日以前に建築された建物 |
どの制度も予算の範囲内での実施で、村税の滞納がないことなどが条件です。交付金は、交付決定の前に着手した工事が対象外とされています。令和8年度の申請期間は5月1日から6月12日までと案内されており、年度内に完了することを条件に期間外の申請を受け付ける場合もあるとされています。
売却の視点で見ると、空き家バンクの物件を購入した移住者が改修費の交付金を検討できる点は、買主にとって判断材料の一つになり得ます。一方で除却補助があっても、解体は元に戻せません。補助制度の内容は年度ごとに変わる可能性があるため、最新の条件は新島村役場の企画財政課企画調整室で確認してください。
新島村定住化対策事業交付金|東京都新島村 https://www.niijima.com/gyousei/hojokin_joseikin/hojoshurui/teijyukataisaku.html
まとめ

新島にある不動産は、島外に住んだままでも売却を進められる可能性があります。この記事の要点は次の3つです。
- オンラインでの打ち合わせや鍵の郵送、契約書類のやり取りなどを組み合わせ、島へ渡る回数を減らす進め方を検討できる
- 権利証や納税通知書などの書類を手元で確認し、解体の見積もりより先に査定を受ける
- 新島村には空き家バンクと改修・除却の補助制度があり、条件や申請期間は役場で最新の確認が必要
大鵬ハウジングでは、新島村をはじめとする離島の不動産について、遠方にお住まいの方の負担を抑えた売却方法をご提案しています。遠方からの売却の進め方は遠隔地からの島物件売却手続きと注意点で、島の不動産売却全体については離島の空き家レスキューでご確認いただけます。

