オフィシャルブログ大鵬ハウジング 社長
久保 友宏
【稲沢市】管理が重荷になった空き家、手放すという選択

草が伸びれば刈りに行き、枝が伸びれば脚立を立て、郵便受けを空にして窓を開けて帰る——空き家の管理は、一つひとつは小さな作業でも、終わりが見えないという点で確実に体力と時間を削っていきます。愛知県稲沢市は名古屋駅まで電車で10分ほどという通勤圏にありながら、駅から離れた住宅地や旧集落には広い敷地と立派な庭木を持つ家が数多く残っており、広い敷地や庭木のある実家では草刈りや剪定が空き家管理の大きな負担になることがあります。株式会社大鵬ハウジングでは年間約2,400件のご相談、300〜400件の成約に携わっており、そのなかには「もう管理を続けられない」という一言から始まった売却も少なくありません。この記事では、稲沢市の空き家管理がなぜ重荷になりやすいのかを整理したうえで、負担を減らす選択肢と、手放すという判断が現実的な解決になる場面についてお伝えします。
稲沢市の空き家、管理はなぜ重荷になるのか
空き家の管理が重荷になる理由は、作業そのものの重さより「いつまで続くのかわからない」という点にあります。所有している限り、季節がめぐるたびに同じ作業が戻ってくるためです。
草木の手入れは一度で終わらない
名古屋市内へ通勤する50代の方が、稲沢市西部にあるご実家を相続したケースを想定してみます。父親が庭仕事を好み、松と樫の生垣を丁寧に育ててきた家です。相続後、この方は月に2回、車で1時間かけて通うようになりました。
たとえば次のような頻度で管理すると仮定すると、年間の作業時間は次のようになります。
| 作業内容 | 目安の頻度 | 1回あたりの時間 | 年間の目安 |
|---|---|---|---|
| 敷地内の草刈り | 4〜10月に月1〜2回 | 2〜3時間 | 25〜40時間 |
| 庭木の剪定・落ち葉の清掃 | 年2〜4回 | 半日〜1日 | 20〜30時間 |
| 通風・通水・室内の点検 | 月1回 | 1〜2時間 | 15〜25時間 |
| 郵便物の回収・外周の確認 | 訪問のたび | 30分程度 | 10時間前後 |
この想定では、年間70時間前後になる計算です。往復の移動時間を足せば、休日の相当な部分が実家に吸い取られていきます。しかも作業は先送りできず、真夏の草刈りが体にこたえる年齢になれば、業者に頼む費用も加わります。
負担の重さは、作業量そのものではなく、終わりが設定されていないことによって決まります。
近隣からの苦情が精神的な負担になる
体力的な負担以上に効いてくるのが、近所への気兼ねです。稲沢市のように住宅が連なる地域では、空き家の状態がそのまま隣家の生活に影響します。
寄せられやすい指摘としては、次のようなものがあります。
- 庭木の枝が敷地境界を越えて隣家の駐車場に張り出している
- 落ち葉が雨樋や側溝に詰まり、隣家が掃除を負担している
- 伸びた草に虫が発生し、隣家の窓を開けられない
- 夜間に人の出入りがあるように見え、防犯面で不安がある
こうした連絡が入るたびに予定を空けて駆けつける生活が続くと、実家に対する気持ちそのものが重くなっていきます。苦情は「管理が足りていない」という事実の通知であると同時に、所有者が一人で抱え込んでいることの表れでもあります。相談先を持たないまま数年が過ぎるケースが、もっとも消耗が大きくなります。
管理をやめてしまうと何が起きるか
負担に耐えかねて足が遠のくと、家の傷み方は加速します。人が出入りしなくなった建物は、想像よりも早く状態が変わります。
老朽化・害虫・不法投棄は連鎖して進む
換気が止まると湿気がこもり、木部や畳が傷みます。雨漏りが始まれば天井や柱まで水が回り、シロアリやネズミの温床になります。庭が荒れて外から見えにくくなると、敷地内に家庭ごみや粗大ごみが捨てられることもあります。
当社にも、こうした連鎖をたどってしまった事例が届いています。一度ご相談をいただいた後、判断がつかないまま数年悩んでいるうちに、空き巣に入られ、さらに雨漏りが進行して危険家屋の状態になってしまった物件がありました。相談の時点では十分に売却が可能だったにもかかわらず、時間の経過だけで選択肢が細っていったかたちです。
管理不全空家に指定された場合の扱い
2023年12月に施行された改正空家法により、「管理不全空家」という区分が新設されました。そのまま放置すれば特定空家に該当するおそれがある状態の空き家について、市町村が助言・指導を行い、改善されない場合に勧告へ進む仕組みです。
税金との関係は、次のように整理できます。
- 特定空家・管理不全空家に指定され、勧告を受けると、その敷地は住宅用地特例の対象から外れる
- 指定されてすぐに特例が外れるわけではなく、助言・指導から勧告へと段階を踏む
- 指導の段階で草刈りや修繕などの対応を取れば、勧告に至らずに済む場合もある
- 税額への反映は毎年1月1日時点の状態が基準となるため、勧告を受けた日と税額が変わる年度は一致しない
実際にどの程度負担が変わるかは、評価額や負担調整措置、市街化区域か調整区域かといった条件によって異なります。金額を断定的に語る情報も見かけますが、稲沢市内でも土地の条件はかなり幅があるため、ご自身の物件については課税明細をもとに確認するのが確実です。
行政からの連絡は「見放された」というサインではなく、まだ手を打てる段階にあるという合図として受け止めてください。
空き家対策 特設サイト|国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/akiya-taisaku/
重荷を軽くする3つの選択肢
管理から解放される方法は、大きく3つに分かれます。それぞれ「負担がどこまで減るか」「収支がどうなるか」が違うため、並べて比べると判断しやすくなります。
| 選択肢 | 管理の負担 | お金の動き | 向いている状況 |
|---|---|---|---|
| 管理代行を使う | 減るが所有は続く | 費用が出続ける | 家族で活用予定があり、数年内に方針が決まっている |
| 賃貸として貸す | 実務は減るが責任は残る | 家賃収入と修繕費 | 建物の状態がよく、賃貸需要が見込める立地 |
| 手放す | 所有後の管理負担を終えられる | 売却代金を受け取り、以後の維持費負担を抑えられる | 使う予定がなく、負担を終わらせたい |
管理代行サービスを使う
月額制で通風・清掃・外周確認などを代行するサービスがあります。愛知県宅地建物取引業協会が運営する「空き家管理ポータルサイト」があり、稲沢市もその案内を市のページに掲載しています。遠方にお住まいの方や、高齢で作業が難しくなった方にとっては現実的な手段です。
ただし、代行を頼んでも固定資産税や火災保険料は変わらず発生します。所有者としての管理責任も残ります。管理代行は負担を「軽くする」手段であって、「終わらせる」手段ではないという点は押さえておきたいところです。
賃貸として活用する
まだ住める状態であれば、貸すという道もあります。当社は柔軟な売却スキームに対応しており、リフォームも自社施工で行うため、費用相場を踏まえた提案が可能です。過去には「お金より困っている人のために活用してほしい」という老夫婦のご依頼を受け、買取・リフォームののち、生活困窮者やひとり親世帯へ月額1万円程度の家賃でお貸ししている物件もあります。
一方で、賃貸には初期投資が必要です。水回りの更新や内装の補修に数百万円かかることもあり、入居者が決まらなければ回収できません。設備故障の対応や退去時の原状回復も続くため、手間が完全になくなるわけではない点は理解しておく必要があります。
手放して所有権ごと移す
売却や買取で所有権が移れば、その後の草刈りや近隣対応など、所有者として続いていた管理負担を終わらせられます。固定資産税は原則として毎年1月1日時点の所有者に課税されるため、年の途中で売却した場合でも、その年度の納税義務が売却日を境に消えるわけではありません。売買契約では固定資産税相当額を引渡日などを基準に精算することがあります。3つの選択肢のうち、負担を確実に終わらせられるのはこの方法だけです。
限界まで我慢してから動くと、建物の傷みが進んで評価が下がり、選べる手段も減ってしまいます。まだ判断する余力があるうちに比較することが、結果的にいちばん損の少ない進め方になります。
「手放す」がもっとも確実な解決になるケース
すべての空き家を売るべきだとは考えていません。ただ、次のような条件が重なっているときは、手放す判断が生活を大きく楽にします。
- 相続してから2年以上、誰も住む予定が立っていない
- 管理のために年に何度も遠方から通っている
- 近隣からの指摘がすでに一度以上あった
- 兄弟や子どもの誰も引き受ける意思を示していない
- 修繕費や剪定費が年間で数万円から十数万円かかっている
こうした条件が重なっている場合、明確な活用予定がないまま持ち続けるほど、管理負担が積み上がりやすくなります。
「傷んでいるから売れない」「他社に断られたから無理だろう」と考えて相談をためらう方も多いのですが、大鵬ハウジングは大阪1店舗から全国に対応しており、地元の不動産会社では出会えない買主とつながることがあります。他社でマイナス査定になった物件をプラス査定で買い取った実績もあります。査定は無料で、交通費や出張費を請求することもありません。
金額が必ず上がるとお約束できるものではありませんが、評価は依頼する会社によって変わり得るという事実は知っておいて損がありません。一社の回答だけで結論を出さないことをおすすめします。
管理から解放されるまでの流れ
実際に手放すと決めた場合、どのくらいの期間で管理が終わるのかを段階ごとに整理します。
| 段階 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 相談 | 物件の場所・状態・相続の状況を伝える | 即日〜数日 |
| 訪問調査 | 建物と敷地、周辺環境を担当者が確認 | 日程調整のうえ1日 |
| 査定・提示 | 買取価格や進め方の提案を受ける | 調査後まもなく |
| 契約・決済 | 必要書類を整え、引き渡しへ | 状況により数日〜数週間 |
当社では、全スタッフが工務店または大手不動産会社での実務経験10年以上で、訪問調査から契約・決済まで同じ担当者が一貫して対応します。各スタッフに1億円以内の決裁権があり、条件が整えば平日当日中の対応も可能です。ただし金額も日程も物件の状況によるため、必ず当日買取になるとお約束するものではありません。
費用面では、当社の買取では、相続登記や所有権移転登記などの登記費用を当社が負担します。ただし印紙税や譲渡所得にかかる税金など、売主側で生じる項目もあるため、事前に全体像をご説明したうえで進めます。
引き渡し後の責任についても触れておきます。当社の買取では契約不適合責任を原則として免責とする方針です。ただし、雨漏りや傾き、過去の浸水など、把握されている不具合は事前にお伝えください。この形で進めてきた結果として、売却後のトラブルは0件です。
残置物が片付いていない、相続登記がまだ済んでいないといった状態でも、相談を止める必要はありません。片付けや登記を先に終わらせようとして年単位で止まってしまうより、現状のまま声をかけていただくほうが早く進みます。
稲沢市ならではの空き家管理事情
稲沢市の空き家管理には、この地域特有の事情がいくつかあります。
まず、立地の良さが判断を先送りさせます。国府宮駅からは名古屋駅まで約10分、JR稲沢駅からも同程度でアクセスでき、市はリニア中央新幹線開業後を見据えて国府宮駅周辺の再整備を進めています。通勤にも通学にも不便がない場所だからこそ、「子どもがいずれ住むかもしれない」「値上がりを待ってもいい」という気持ちが働き、結果として誰も住まないまま年月だけが過ぎていきます。
次に、庭の存在です。稲沢市は埼玉県川口市、大阪府池田市、福岡県久留米市と並ぶ植木・苗木の四大産地として知られ、その歴史は鎌倉時代末期にさかのぼります。庭園用樹木の生産が地域産業として根づいており、こうした土地柄から、庭木のある実家を引き継いだ方にとっては、剪定や落ち葉の処理が管理負担の一つになることも考えられます。手入れが行き届いていれば資産ですが、剪定の技術と時間が要る木ほど、放置したときの荒れ方も目立ちます。
世帯の構成も変わってきました。市が公表している令和8年8月1日現在の数字では、人口132,001人に対して世帯数は58,028世帯で、1世帯あたりは2.3人ほどです。祖父江町・平和町を含む市西部には敷地の広い家が多く、そこに親世代だけが暮らし、子世代は名古屋市内や近隣市に世帯を持っているという構図が各所で見られます。広い敷地と立派な庭木を、遠方に住む一人が背負う——これが稲沢市で管理疲れが起きる典型的なかたちです。
稲沢市は複数の専門家団体と協定を結び、相談体制を整えています。行政の窓口も、民間の買取も、どちらも同じ「負担を終わらせるための入口」として並んでいると考えてください。
稲沢の植木|稲沢市 https://www.city.inazawa.aichi.jp/0000000396.html
稲沢市で空き家の管理に悩んだときの相談先
相談先は目的によって使い分けると効率がよくなります。
- 制度や補助の内容を知りたい場合は、市のまちづくり部建築課が窓口です。稲沢市空家等対策計画のほか、危険な空き家の除却工事に対する補助制度も案内されています
- 相続や登記で行き詰まっている場合は、市が協定を結んでいる専門団体を紹介してもらえます
- 当面の管理をしのぎたい場合は、愛知県宅地建物取引業協会が運営する空き家管理ポータルサイトや、ふるさと納税の返礼品として提供されている草刈り・片付けの代行サービスという手もあります
- 売却や買取を含めて出口を検討したい場合は、不動産会社への相談が近道です
当社にご相談いただく場合、弁護士・司法書士・行政書士・土地家屋調査士・税理士・FP2級・残置物処分業者と提携しています。当社が窓口となり、登記申請や法律相談などの専門業務はそれぞれの資格者が担当しますので、複数の窓口を回る手間は減らせます。
相談の段階で売却を決める必要はありません。「今の状態でいくらになるのか」「貸すとしたら何が必要か」を知ったうえで、持ち続ける道と手放す道を並べて比べる。その材料をそろえること自体が、管理疲れから抜け出す最初の一歩になります。
空き家に関する相談窓口|稲沢市 https://www.city.inazawa.aichi.jp/0000000221.html
稲沢市の空き家買取・対応エリア
稲沢町、国府宮、駅前、下津、松下、高御堂、小沢、稲葉、西町、長野、正明寺、小池、朝府町、奥田町、井之口、日下部、六角堂、矢合町、祖父江町祖父江、平和町塩川
※上記に記載のない町名でも、稲沢市内であればすべて対応可能です。お気軽にご相談ください。
まとめ

空き家の管理が重荷になるのは、作業がきついからというより、終わりが決まっていないからです。稲沢市のように名古屋への通勤圏でありながら広い敷地と手のかかる庭木を持つ家が多い地域では、その負担がとりわけ長く続きます。管理代行で軽くする、賃貸で活かす、手放して終わらせる——どれを選んでも構いませんが、判断する余力が残っているうちに比べておくことが、後悔の少ない結果につながります。傷みが進んでからでは、選べる道そのものが減ってしまうためです。株式会社大鵬ハウジングは、稲沢市の空き家について、残置物が残ったままでも、相続登記が済んでいなくても、現状のままご相談を受けています。もう限界だと感じる前に、一度お手元の状況を整理してみてください。
この記事の監修者
株式会社大鵬ハウジング
代表取締役 久保 友宏
地方・田舎の空き家、相続不動産、訳あり不動産などの売却相談に対応。
年間約2,400件の相談実績を持ち、ファイナンシャルプランナーとして不動産売却後の資産整理についてもサポートしています。



