オフィシャルブログ大鵬ハウジング 社長
久保 友宏
【尾道市】親が住んでいる実家、生前に売ることはできる?|進め方と確認事項

尾道市の坂の途中にある実家に80代の両親が二人で暮らしていて、自分は福山市内に家を構えている。車の入らない路地から階段を上がり、月に一度ほど様子を見に行く。そんな行き来を何年か続けるうちに、「この家は、いずれどうなるのだろう」と考え始めた方は少なくありません。実家は空き家になってから動くよりも、親が住んでいるうちのほうが選べる手が多く残っています。この記事では、株式会社大鵬ハウジングがこれまでのご相談で向き合ってきた実家の生前売却について、誰が売主になるのか、何を先に確かめておけばよいのかを、尾道市の住宅事情も踏まえながら順を追って整理します。
実家を「生前に売る」という選択が増えている理由
生前売却という言葉には、どこか気の早い響きがあります。それでもこの相談が増えているのは、空き家になってから動き出した家族が想像以上に手間と時間を取られているからです。
空き家になってからでは選べる手が減る
住む人がいなくなった家には、管理・税金・名義という三つの負担が同時にのしかかります。庭木は伸び、郵便受けはあふれ、風を通しに行くだけで半日が消えていきます。固定資産税は住まなくなっても毎年かかり続けます。
そして名義の問題が重くのしかかります。2024年4月1日に相続登記が義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記を申請することが求められるようになりました。施行前に相続していた未登記の不動産も対象で、こちらは2027年3月31日までが期限です。正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象となりうるとされていますが、必ず科されるものではありません。期限内に相続登記をすることが難しい場合には、2024年4月に始まった相続人申告登記という制度もあります。ただしこれは申請義務を簡易に履行するための手続きで、所有権を確定して公示する相続登記そのものではありません。不動産を売却するときや遺産分割がまとまったときには、あらためて相続登記が必要になります。
そしてもう一つ、相続人が複数いる場合には、遺産分割が済むまで売却の判断に複数人が関わることになります。親一人の意思で決められたはずのことが、話し合いの対象に変わるわけです。連絡の取りづらい相続人が一人いるだけで、話は数か月単位で止まります。
親が元気だからこそ決められること
一方、親が自宅で暮らしているあいだは、売る・貸す・住み続けるのいずれも本人の意思で選べます。権利証をどこにしまったか、増築をいつ誰に頼んだか、隣家との境界をどう決めたか??こうした記憶は本人にしか残っていないことが多く、あとから調べ直すと時間も費用もかかります。ご相談の現場でも、親御さんが同席された日に話が一気に進むことは珍しくありません。決めるのが早いほど、家族が選べる手は多く残ります。
親が住んでいる実家は、売ることができるのか
結論から言えば、売ることはできます。ただし進め方には前提があり、ここを取り違えると話が最初から組み直しになります。
所有者は親本人。子が進めるなら代理権の確認が必要
親の単独名義であれば、売るかどうかを決めるのは親本人です。ただし、子が一切関われないという意味ではありません。親に判断能力があり、委任状などで適切に代理権が与えられていれば、子が代理人として契約手続きを進めることはできます。売却の意思決定は親、実務の窓口は子、という分担は現実によくある形です。
気をつけたいのは、判断能力に不安が出てきている場合です。委任状さえ用意すれば進められるとは限らず、状況によっては成年後見制度の利用を検討することになります。成年後見人が本人の居住用不動産を売却するには家庭裁判所の許可が必要で、許可を得ないまま処分した場合、その処分は無効とされます。そのため、契約内容を理解して判断できる状態かどうかは、いちばん最初に確かめておく必要があります。
成年被後見人(被保佐人、被補助人)の居住用不動産の処分についての許可|裁判所 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_25_04/index.html
名義・登記・境界を先に確認する
売れるかどうかより先に確かめたいのが、いま誰が売れる状態にあるかという点です。登記簿を取り寄せてみると名義が祖父のままだった、増築した部分が未登記だった、隣地との境界杭が見当たらない、私道の持分が一部欠けている。こうしたことは、尾道市の斜面地や路地に面した古い住宅地では特に出てきやすい論点です。登記事項証明書は法務局で誰でも取得できるため、親に切り出す前に現況だけ確かめておく方も多くいます。売れるか売れないかを考える前に、誰がどの状態で売れるのかを押さえておくと、その後の話がぶれません。
生前に実家を手放す4つの選択肢
生前売却と聞くと「いま住んでいる家を出ていく」話に思われがちですが、実際の選択肢はもう少し幅があります。
住み替えて売る
親が施設や子の近くへ移り、空いた実家を売る形です。買取であれば、家財を残したまま現況のままで進められ、荷物が片付いていないことで金額が変わることもありません。「近所に知られたくない」という声も多く、当社では広告を一切掲載せず、自社で抱えている顧客に直接提案して成約に至った事例もあります。
住みながら売る
自宅を売却したうえで、そのまま賃貸として住み続ける方法です。リースバックと呼ばれ、売買契約と賃貸借契約をセットで結びます。まとまった資金を手にしながら住環境を変えずに済む一方で、売却後は家賃が発生します。売却価格と家賃、契約期間の条件は必ず確認してください。物件の状態や地域によっては対応できないこともあるため、可能かどうかは個別の判断になります。
売らずに貸す
すぐに手放す決断がつかない場合、リフォームを前提に賃貸へ回す道もあります。当社はリフォームを自社で施工しているため、どこまで直せばどのくらいかかるかを具体的に示したうえで、買取と賃貸活用のどちらが現実的かを一緒に検討できます。
今は売らず、備えておく
結論を出さないという選択も、立派な選択肢の一つです。ただし何もしないのとは違います。名義と登記を整えておく、権利証や図面の保管場所を家族で共有しておく、いざというときの相談先を決めておく。この三つが済んでいるだけで、次に動くときの負担はまるで変わります。どれが正解かは、親の健康状態と家族の住まい方によって変わります。
進める前に確認しておきたいこと
売り方を決める前に、家族で確かめておきたい項目があります。
税金の扱いは相続後と変わる
同じ家でも、生前に売るのと相続してから売るのとでは税金の扱いが変わります。生前に売却して譲渡所得が生じた場合は、親の譲渡所得として課税関係が生じます。住んでいた自宅であれば、一定の要件を満たすことでマイホームを売ったときの特例が使える場合があります。相続後に売る場合は、被相続人の居住用家屋を売ったときの特別控除など別の制度が関係してきますが、こちらは建築時期・居住状況・売却時期などの要件が細かく定められており、誰でも使えるものではありません。なお尾道市では、この特例に必要な被相続人居住用家屋等確認書をまちづくり推進課住宅政策係が発行しています。
どちらが有利かは、保有期間・売却価格・家族構成によって変わるため、ここで結論を出すことはできません。当社は弁護士・司法書士・税理士などの専門家と提携しています。当社が窓口となり、税務や登記などの専門業務はそれぞれの資格者が担当します。
兄弟姉妹にも事前に状況を共有しておく
親が単独で所有し、本人に判断能力があるなら、売却に子や兄弟姉妹の同意が法的に必要というわけではありません。それでも、将来の相続人は兄弟姉妹です。「勝手に売った」という受け取られ方を避けるためにも、話を進める前に事情を共有しておくほうが、結果として早く進みます。売却するかどうか、代金を親の生活費や施設費にどう充てる見通しかといった状況共有まででも十分です。
確認したい項目を整理すると、次のようになります。
| 確認する項目 | 見るポイント | 確認の手段 |
|---|---|---|
| 名義 | 登記簿上の所有者が親本人か | 法務局で登記事項証明書を取得 |
| 登記 | 増築部分や附属建物が未登記でないか | 登記事項証明書と現況の照合 |
| 境界 | 隣地との境界標の有無、私道の持分 | 測量図・公図、土地家屋調査士へ相談 |
| 親の意思 | 本人が内容を理解して判断できる状態か | 家族で直接確認 |
| 家族への共有 | 兄弟姉妹が状況を把握しているか(法的な同意要件ではない) | 事前に共有 |
| 税金 | 生前と相続後で扱いが変わる点 | 税理士へ確認 |
いずれも売ると決めてから調べるものではなく、迷っている段階でも進められます。
親と話を進めるときの順序
この話が難しいのは、内容よりも切り出し方にあります。いきなり「売ろう」と持ちかけると、多くの親御さんは「追い出される」と受け取ります。順序を一つ変えるだけで、同じ話でも受け止め方は変わります。
- まず、家の現状を把握する。登記事項証明書と固定資産税の納税通知書があれば、名義・面積・評価の概要はつかめます
- 次に、選択肢を並べる。売る、貸す、住み続ける、いまは備えるだけにする。どれも同じ重みで並べます
- 最後に、親の意向を聞く。決めてもらうのではなく、どう暮らしたいかを先に聞きます
以前、お子さんから資産整理を強く迫られて精神的に参ってしまった売主の方から相談を受けたことがあります。担当者はまず何時間も話を聞くことに徹し、そのうえで買取を進めました。納得して決められたかどうかは、売却のあとまで残ります。結論を急がないほうが、結果として話は前に進みます。
尾道市で実家の生前売却を考えるときの事情
尾道市の人口は減少が続いています。年齢構成まで確認できる2020年の国勢調査では、人口は131,170人、65歳以上の割合は36.6%で、全国や広島県の平均を上回る水準でした。世帯数は2010年をピークに減少へ転じた一方、単独世帯の割合は上がり続けています。高齢化が進み、少人数の世帯が増えているぶん、実家をどうするかという判断が持ち上がる場面も増えています。
背景には産業構造もあります。尾道市は造船関連産業が集積した都市で、市内には大小あわせて20社ほどの造船会社と、エンジンや舵などを手がける舶用工業の事業者が40社ほど立地しています。地元で長く働いてきた親世代が実家に残り、子世代は別の街で世帯を構えているという組み合わせは珍しくありません。隣接する福山市から行き来しながら実家を見ているご家族も想定されます。
そしてもう一つ、尾道市ならではの事情が住宅の建ち方です。西土堂町や東土堂町、長江、東久保町、西久保町といった斜面市街地に加え、車が入れない路地に面した敷地が市内には数多くあります。尾道市の空き家バンクでは、東御所町、土堂一・二丁目、十四日元町、久保一?三丁目、尾崎本町について、こうした車が入れない路地に面した区域を対象としています。階段を使わなければたどり着けない家では、家財の搬出にも工事資材の搬入にも手間がかかりやすくなります。親が自力で上り下りできるうちかどうかで、動かしやすさは変わります。一方で、車でアクセスしやすい住宅地や島しょ部では、条件も買い手の見え方も違ってきます。同じ尾道市内でも、坂の上と車で入れる場所とでは進め方を分けて考える必要があります。
序章 造船業をはじめ海事機能が集積する尾道市|海事都市尾道推進協議会 https://www.city.onomichi.hiroshima.jp/kaijitoshi/development/prologue.html
尾道市で実家の生前売却を相談するには
相談は、売ると決めてからでなくて構いません。実際のご相談は、現況の聞き取り、現地調査、査定、選択肢の提示という順で進みます。査定は無料で、交通費や出張費を請求することもありません。
当社は全スタッフが工務店または大手不動産会社での実務経験10年以上で、訪問調査から契約・決済まで同じ担当者が一貫して対応します。大阪1店舗から全国に対応しており、地元の不動産会社では出会えない買主とつながることがあります。他社でマイナス査定になった物件をプラス査定で買い取った実績もあります。また、当社の買取では各スタッフに1億円以内の決裁権があり、条件が整えば平日当日中の対応も可能です。ただし金額も日程も物件の状況によるため、必ず当日買取になるとお約束するものではありません。
高齢のご両親が売主になる場合、「あとから責任を問われないか」を気にされる方が多くいます。当社では売主様の契約不適合責任を原則として免責としており、契約書にもその旨を明記しています。ただし、雨漏りやシロアリ被害など、すでにご存じの不具合がある場合は事前にお伝えください。売却後のトラブルは0件です。年間約2,400件のご相談、300?400件の成約に携わってきた経験から、迷っている段階の整理からお手伝いできます。
市の窓口も使えます。尾道市では空き家の相談をまちづくり推進課住宅政策係が受け付けており、2023年3月には地域別の取組み方針を加えた第2期尾道市空家等対策計画が策定されました。制度面の確認は市の窓口、売却の実務は不動産会社と役割を分けると、話が早く進みます。
空家等対策|尾道市 https://www.city.onomichi.hiroshima.jp/soshiki/33/24768.html
尾道市の空き家買取・対応エリア
東土堂町、西土堂町、十四日元町、長江、久保、東久保町、西久保町、三軒家町、栗原町、山波町、日比崎町、東尾道、高須町、美ノ郷町本郷、木ノ庄町木梨、御調町市、向島町、向東町、因島土生町、瀬戸田町瀬戸田
※上記に記載のない町名でも、尾道市内であればすべて対応可能です。お気軽にご相談ください。
まとめ

親が住んでいる実家でも、売ることはできます。ただし売るかどうかを決めるのは親本人で、子が進める場合は代理権の確認が前提になります。だからこそ、名義・登記・境界を確かめ、兄弟姉妹と状況を共有し、親の意向を聞くという順序が要になります。住み替えて売る、住みながら売る、貸す、いまは備えるだけにする??選べる手は、親が元気なうちほど多く残っています。坂の上の実家に親が二人で暮らし、子は福山市内にいる。尾道市ではよくあるこの距離感も、動き出す時期によって負担のかかり方が変わります。株式会社大鵬ハウジングは、尾道市の斜面地の住宅から島しょ部の家まで、状況をうかがったうえで現実的な選択肢をお示しします。結論が出ていない段階の整理からで構いませんので、気になることがあれば早めにご相談ください。
この記事の監修者
株式会社大鵬ハウジング
代表取締役 久保 友宏
地方・田舎の空き家、相続不動産、訳あり不動産などの売却相談に対応。
年間約2,400件の相談実績を持ち、ファイナンシャルプランナーとして不動産売却後の資産整理についてもサポートしています。



